- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県東御市
- 広報紙名 : 市報とうみ 2025年9月号
■認知症治療の新たな一歩『抗アミロイドβ抗体薬』
◇認知症
認知機能が低下して日常生活に支障が生じるようになった状態が認知症です。日常生活には支障がない程度の認知機能低下は軽度認知障害(MCI)と言います。認知症の原因の約7割がアルツハイマー病です。
◇アルツハイマー病
正常な脳の中ではいろいろな蛋白質が作られています。その一つ「アミロイド前駆体蛋白質」が異常な分解を受けてできる「アミロイドβ」という蛋白質のかけらがうまく処理されずに少しずつ脳にたまった結果、神経細胞が障害され認知機能が低下していくのがアルツハイマー病です。症状は認知機能がある程度低下してはじめて出現しますが、アミロイドβの沈着は症状が出る20年近く前からはじまっています。
◇抗アミロイドβ抗体薬
この薬は免疫の作用でアミロイドβを脳から除去し、病気の経過を改善させます。症状が進む前の早い段階(MCIと軽症認知症)に点滴で投与することで症状の進行を遅らせることが期待できますが、低下した認知機能を完全に回復させる薬ではなく、症状が進んでしまった認知症には使えません。治療前にPETまたは脳脊髄液検査でアミロイドβの蓄積を確認した方が対象です。副作用としてARIAと呼ばれる局所的な脳の腫れや出血があり、定期的なMRI検査が必要なため治療を行う施設が限られます。上小地域では信州上田医療センター・小林脳神経外科神経内科病院・安藤病院の3カ所で、受診するための連携体制がつくられています。治療のための通院、検査や薬剤に要する高額な医療費など課題もあります。認知症治療には様々な選択肢がありますので、関心のある方はかかりつけ医もしくは最寄りの医療機関へご相談ください。
問い合わせ先:市民病院
【電話】62-0050