くらし 令和7年度 栄村教育施政方針(1)

栄村教育委員会

気候変動や自然現象により各地で災害が発生し、日々当たり前だった生活が脅かされる事案が多発しています。本年度も平穏な日々が続き、村民の皆さんが安心して学べる環境や集える環境を増やし、生活の中での心の豊かさを高められるよう教育委員会としても引き続き努力していく所存です。
令和7年度も、村民誰もが「自ら学び」「共に育とう」とする『自学共育』の理念の元、豊かな人間性を育み生活に彩りを添えられるように期待しています。

それでは、本年度の教育委員会の施政方針を述べさせていただきます。
本年度も今ほど申し上げました「自学共育」を教育委員会全体の柱にし、業務を推進して参ります。子どもからお年寄りまで、全ての村民がいくつになっても自ら学ぶ好奇心や意欲を持ち、共に支え合いながら育っていく姿をデザインすると共に、そのための支援をしていきたいと考えています。

1 子どもは地域の宝であり村の未来である
(1)保育園・学校運営
令和7年4月における栄村の保育園、小・中学校の園児および児童・生徒数は、保育園が23名、小学校が47名、中学校は19名です。前年に比べ、保育園はマイナス3名、小学校はプラス4名、中学校はプラス2名で合計89名となり、全体では3名のプラスになっています。
移住などの子ども数増加により、保小中の人数は、ここ数年大幅な減少は見られなくなり、ある程度減少のスピードが緩やかになっていると感じられます。
さて、約2年半にわたり、村の義務教育について村民主体で熱心にご討議いただきました「みんなで学校を創ろう!」も昨年11月で22回を迎えました。校舎増改築に伴う設計は概ね終了し、本年度7月ごろに予定しております入札で工事業者が決定されれば、いよいよ増改築工事に着工できる段取りになっています。また、ソフト面では、昨年度制服や運動着、かばんなどを含め子どもたちの日常に関わる事項を話し合い、新たな学校の基本方針でもある「揃えない・一律一斉は無し・教え込まない」を中心とした考え方をベースに基本線が決まってきました。今後は本年度を含め、小中学校の子どもたちが共に生活する中で話し合いを重ね、自分たちで自分自身の生活のルールを決めていくことに期待したいと願っています。そのためにも令和7年度は他校ではなかなか取れない小中合同の話し合いの時間が大変重要かつ貴重にもなってまいります。様々な面で義務教育学校開校までの、重要な一年だと判断しています。
また、長野県教育委員会が募集したウェルビーイング実践校「TOCO│TON(トコトン)」では、栄小中を実践校として、栄村教育委員会が名乗りを上げたところ、県内5市3町4村70校の中に指定されましたので、小中の先生方と共に研修の機会を増やし、新たな時代に向けた教育実践ができるようリーダーシップを発揮してまいりたいと考えています。本年度を準備期間としながら3年間で子どもを真ん中に置きながら全国でも先進的な実践を積み重ねていきたいところです。
保育園に関しては、保小の連携をさらに強化したいところではありますが、小学校の生活基盤である校舎と保育園が離れてしまうため、保小の連携はあまり期待できません。本年度はここ数年継続しております「信州やまほいく」の実践にさらに磨きをかけ、子どもたちの体験の質だけではなく、内面も推し量りながら個に寄り添った支援を行いつつ、ダイナミックな展開ができるよう先生方の研修の機会を大切にすると共に、地域住民の皆様との接点も今まで以上に図れるよう支援してまいる所存です。
栄中学校で行われております「栄ふるさと塾」についても、学びや活動の過程を大切にすることはもちろんですが、中学生としてある程度結果にもこだわりをもった取り組みを行えるよう、コミュニティスクールのコーディネーターなどと連携をとりつつ活動を深められるよう支援を行っていきたいと考えます。
やまほいくを出発点とし、中学校のふるさと塾まで、この村にとって具体的な活動を通した重要な学びの場である「ふるさと学習」では、栄村の「ひと・もの・こと」により深く触れながら郷土愛を育み、ふるさとである栄村を更に愛する思いを育てる活動になるよう期待しています。

(2)給食費について
保小中の給食費に関してですが、昨年度は村からの補助金も増額し子育て世代へ手厚い支援となるよう努めてまいりました。本年度から国が給食費の無償化を実施することも期待しましたが、残念ながら来年度となる令和8年度は小学校のみ給食無償化の方向が示され、中学校はその先という方向が示されました。しかし、この間世の中の全ての物価が高騰し、子育て世代に限らずどの家計も厳しい日々が続いているのが事実です。今後も段階的に値上げせざるを得ない現在の状況を考えると、保護者の皆様に給食への関心を持っていただきたいと各御家庭の負担を今までもお願いしてきましたが、無償化に踏み切った方が、安定した給食提供が可能であること、近年給食を無償化する規模の小さな自治体が増加してきたこと、当村においてもあまり無理せずにできる子育て世代への支援であると判断したことなどの理由から本年度より無償化を進めたいと考えています。
各御家庭の給食への関心という面においては、各御家庭に配布される給食だよりや、実際に子どもと同じ給食を食べていただく給食試食会等の機会を大切にしつつ、関心をお持ちいただけるように今後も配慮したいと考えています。

(3)学童クラブについて
学童クラブについては本年度32名の登録児童を予定しています。本年度は小学校校舎が栄小から栄中に移動するため、学童保育の場所も中学校の体育館内の部屋をお借りすることになります。部屋の中でじっとしている時間だけでは居心地が悪くなるため、体育館を使い遊べるように配慮しました。保護者の送迎の関係もご負担をおかけしますが、小学校工事中はご勘弁いただきご理解を賜りたいと考えています。場所は変わりますが、引き続き保護者の皆さんが安心して働きながら子育てができるよう利用人数に応じた指導員を置くと共に、引き続き子どもたちに対して温かな指導を依頼していきたいと考えます。