くらし 市政羅針盤(らしんばん)

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:長生きを喜べる長寿社会の実現に向けて~島田市の状況~

■平均寿命から見る今後の社会
皆さま、健やかに新年をお迎えのことと存じます。健康長寿は人類の永遠の願いです。そこで、今月は、本市の高齢者に関する現状を知っていただき、一人ひとりが健康で幸せに暮らすヒントを考えたいと思います。
日本人の平均寿命は、1950年には男性59.57歳、女性62.97歳と、まさに『人生60年時代』でしたが、2023年(令和5年)には男性が81.09歳、女性が87.14歳と、73年間で22~25歳も延びました。寿命の延伸をもたらした大きな理由は、前半は乳幼児死亡率の低下でしたが、後半からは医療技術の向上による中高年の死亡率の低下が貢献しています。さらに、これからの科学技術の進歩を考慮すると、21世紀生まれの子どもの半数が100歳の人生を迎えるという衝撃的な予測も出ています。しかし、本当に長寿だけが目標でいいのでしょうか。長生きを喜べる長寿社会をつくる、それが私たちに問われている課題だと思います。

■島田市に元気な高齢者が多い訳
島田市の人口は、令和6年11月末現在9万4,821人、うち65歳以上は3万710人(高齢化率32.4%)となっています。本市の高齢者数は、令和6年にピークを迎え、今後は徐々に減少し、令和22年(2040年)には3万人を下回る(2万9,627人)と推測されています。一方、75歳以上の後期高齢者の人口は増加傾向であり、令和6年11月末現在、75歳以上の後期高齢者は1万7,661人、令和12年(2030年)には1万8,627人と推測されています。(「第10次島田市高齢者保健福祉計画」より)
次に、要介護認定率ですが、島田市は、近隣市と比較して高齢化率は高いですが、要介護認定率は低く、他市と比較して元気な高齢者が多く、介護予防にも積極的に参加していることがデータから読み取れます。ちなみに、島田市の要介護認定率は14.75%(令和5年度末現在)。近隣市より2.16%~3.25%も低くなっています。元気な高齢者が多い理由として、本市では、要介護認定に至らない方を対象とした「しまトレ」(市内102か所)や「パワーリハビリ教室」などの介護予防事業に積極的に取り組んでおり、こうした成果として介護認定率が近隣市と比較して低いと考えられます。近年は、さらなる介護予防として「eスポーツ教室事業」や、高齢者の難聴による心身の虚弱やフレイルを予防する「高齢者等補聴器購入費助成事業」にも取り組んでいます。さらに、島田市の介護保険料(令和6年度~8年度)は平均月額5,000円で、県下23市中でいちばん低い保険料となっています(県平均保険料月額5,810円)。元気な高齢者が多く、介護保険制度によるサービスを利用する高齢者が少ないことで、介護保険サービスに対する給付費が抑えられているのです。こうした数値からも、島田市には元気で生き生きと暮らしている高齢者が多いことが裏付けられます。

■長生きを喜べる長寿社会に向けて
しかし、生活習慣病ではちょっと気になるデータがあって、本市では、メタボは少ないけれど、高血圧予備群や糖尿病予備群が多いという特徴があります。糖尿病・高血圧疾患の一人あたりの医療費用額と受診率が県平均と比較して高いのです。医療費用額の上位5疾病は、(1)腎不全(2)糖尿病(3)高血圧性疾患(4)悪性新生物(5)その他の心疾患となっており、5疾病のうち4疾病が生活習慣病で、医療費全体の約30%を占めています。他にも、高齢者の68.5%が一日350gの野菜摂取目標値に達していないというデータがあり、皆さんにもっと野菜を食べていただきたいです。適度な運動、栄養バランスの良い食習慣、社会参加が、健康寿命の延伸には欠かせません。
日本は、世界に例をみないスピードで少子超高齢化が進んでいます。人口減少と急激な人口構成の変化(高齢者は増え続け、若年層は減少)に対応し、医療・介護を含む社会保障、居住環境、社会的インフラ(電気、ガス、水道、道路、鉄道、電話、インターネットなど、生活に欠かせない設備やサービスのこと)、さらには教育をどうやって将来にわたり維持していくのか、知恵を絞り、解決策を見出していかなければなりません。本市として、高齢になっても働ける雇用の場の拡大を目指して、市役所内の「ママハロ」(ハローワーク)でワンストップによる高齢者の就労支援も積極的に承っていきます。「長生きを喜べる長寿社会」の実現に向けて、あなたは何から始めますか。

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