- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県藤枝市
- 広報紙名 : 広報ふじえだ 令和7年10月号
■男女ともに仕事と育児の両立を目指して
「男性の育児休業」
◆株式会社 藤枝農産加工所
(藤枝市堀之内825-1)
事業内容:農産・果物などの缶詰・レトルトパウチを製造。
「安全・安心」を第一に、「生産性向上」や「脱炭素化社会の実現」、「働く人の幸せ」を追求している。
「会社独自の制度に後押しされ、夫婦で協力して育児に向き合う」
(株)藤枝農産加工所
成島さん(製造/入社11年目)
・2024年7月に第一子誕生
・2024年8月~9月の1カ月間 会社独自の育休制度を利用
Q.育休を取得した経緯を教えてください。
成島さん:出産予定日が分かった頃から、産後の妻を支えたいと考えていました。会社から「独自制度で給与の手取り10割が保証されるので、ぜひ取得してほしい」と打診があり、背中を押されました。妻も同じ職場で、上司から男性育休を勧めてもらい、「本当に助かる」と喜んでくれました。
Q.会社との調整はどのように進めましたか?
成島さん:出産予定日が分かってから準備を始め、同じ部署の3人へ引き継ぎを行いました。工場はライン作業のため、一人ずつ担当作業があり、担当者がいないとラインが止まってしまいます。そこで、コロナ禍を経て定期的に担当を入れ替える運用に変わり、どのポジションが抜けても対応できる体制が整っていたので、安心して休みに入ることができました。上司や年下の後輩たちも育休取得を前向きに受け止めてくれました。
Q.育休中に大変だったことはありますか?
成島さん:夜泣きの対応です。なぜ泣いているのか原因が分からず、試行錯誤の連続で睡眠不足にも悩まされました。慣れないことばかりで、仕事と比べて育児の方がはるかに大変だと当時は思いました。
Q.育休期間は短かった?長かった?
成島さん:あっという間でした。今は娘が1歳になりましたが、生後2カ月の頃と比べると成長が全く違う。この瞬間の変化を見届けたい思いが強くなり、「取れるなら、できる限り長く取りたい」と考えるようになりました。
Q.これから育休取得を考える人へメッセージを。
成島さん:もし取得を迷っているなら、絶対に取った方がいいと思います。子どもの成長を一番近くで見届けられる、かけがえのない時間です。
◆藤和乾物 株式会社
(藤枝市大西町1-1-32)
事業内容:学校給食や一般外食、輸出、メーカー・加工原料、メディカル・産業給食、家庭向け商品を扱い、食を通じて健康と成長をサポート。
近年は海外展開を強化し、現在13カ国に輸出実績がある。
「男性育休取得社内第1号として道筋を設計」
藤和乾物(株)
松永さん(営業/入社11年目)
・2025年3月に第一子誕生
・2025年4月~5月の1カ月間 産後パパ育休制度を利用
Q.育休を取得した経緯を教えてください。
松永さん:もともと育休を取るつもりはありませんでした。身近に男性育休を取得した人がおらず、私自身も考えもしませんでしたが、会社からの後押しがあり、育休を取得することになりました。男性の育休取得は社内で初めてのことだったので、後に続く人が安心して制度を利用できるよう、社労士さんに相談したり、取引先の男性育休取得者にヒアリングしたりして、社内規定の整備にも携わりました。
Q.職場のサポートで助かったことはありますか?
松永さん:育休中、会社からの連絡が一切なかったことですね。私の業務は3人の同僚に引き継ぎました。営業職のため、当然お客様から連絡が入ることもありますが、弊社では、海外出張や有給取得の際には、お客様からの電話を他の営業メンバーに転送して転送者は海外での業務や自身の休暇に集中できる仕組みが既に整っていました。このため、今回の育休取得でも社用携帯やパソコンなどの営業職に必要なツールは全て職場に置いて、同僚に業務をお願いできました。自宅では、仕事ができない状態を作り、育休に専念することができました。
Q.育休中の生活について教えてください。
松永さん:妻は出産後に体調が優れないこともあり、できる限り家事を担いました。朝6時に起きて、哺乳瓶の煮沸や食事の準備、洗濯、掃除などを行いました。授乳やおむつ交換は、日中は私、夜間は妻というように交代制で対応しました。
Q.育休を取得されて、ご家族の反応はどうでしたか?
松永さん:妻は驚いていましたが、好意的に受け止めてくれました。初めての子育てで分からないことだらけだったので、最初の1カ月を夫婦で乗り切れたことは、互いに心強かったと思います。
○男性育休取得、初の40%超え
昨年度、男性の育児休業取得率の全国平均が過去最高の40.5%となり、前年より10ポイント以上増加しました。また、静岡県内における取得率は44.1%で全国平均を上回りました。
背景には、育児・介護休業法の改正や、「産後パパ育休」の新設など、制度の充実と周知の広がりがあります。政府は2025年までに50%、2030年に85%の取得率を目指しており、男性の育児休業は取得が「当たり前」になる日も近づいています。
出典:厚生労働省「2024年度雇用均等基本調査」
静岡県「2024年度雇用管理状況調査」
○「産後パパ育休」とは
「産後パパ育休(出生時育児休業)」は2022年10月に導入された制度で、主に男性が子どもの出生後8週間以内に最大4週間の育休を取得できるものです。この制度では、育休を2回に分けて取得可能で、労使協定により育休中の就業も一部認められています。勤続年数の条件が緩和され、より多くの男性が利用しやすくなっています。2025年4月からは、両親がともに14日以上育休を取ると給付金が最大28日間、手取り約10割相当に引き上げられました。

厚生労働省「育児休業制度特設サイト」を基に藤枝市作成
