子育て 《特集》刈谷少年少女発明クラブ 創立50周年(1)

昭和49年に全国初の発明クラブとして発足し、昨年6月に創立50周年を迎えた刈谷少年少女発明クラブ。本特集では、歴史と伝統のあるクラブの活動を紹介し、関係者へのインタビューを通して魅力を探ります。

▼少年少女発明クラブとは?
ものづくりや科学技術に親しみながら、学校や家庭では得られない創造活動を体験できる場所です。現在は、全国214カ所のクラブで約1万1千人が活動しています。刈谷少年少女発明クラブでは、市内外の千人を超える子どもたちが元エンジニアや元教員など21人の指導員と共にものづくりを楽しんでいます。クラブでは、子どもたちの創造性の育成を目的に、発想力、技術力、集中力を鍛え、達成感を味わうことができるような活動を行っています。

▼ものづくりを段階的に学べる教室
クラブでは、学年に応じてコースが異なる工作技能育成教室を開講しています。小学1年生が対象の発明工作入門コースでは、紙工作を中心に作品を作ります。小学2~3年生が対象の基礎コースでは、工作の基礎となる図面の読み方や書き方、工具の使い方を学び、小学4~6年生が対象の中級コースでは、電気工作の技能を習得したり、アイデア発想訓練を行ったりしています。中学生が対象の上級コースでは、センサーを活用した作品を考えて製作したり、プログラミングを修正して2輪車を動かしたりするなど、ものづくりの技術が段階的に習得できるようになっています。他にも、創意工夫工作教室やチャレンジ創造コンテストコース、AIチャレンジコース、OM教室があります。

▼各種大会の成績もトップクラス
各種の大会やコンテストに積極的に参加し、日本一、世界トップレベルを目指している刈谷少年少女発明クラブ。市村アイデア賞で特別賞の文部科学大臣賞を受賞したり、OM世界大会で優勝したりするなど、子どもたちはクラブで育んだ創造性を発揮して輝かしい成績を残しています。

●AIチャレンジコース
ロボットカーの製作を通して、先端的な加工技術やプログラミング、AI画像認識などを学びます。

●OM*教室
アメリカで開催されるOM世界大会への出場を目指して課題解決の特別訓練を行います。
*Odyssey of the Mindの略で、与えられた課題に対していかに創造的な解決をしたかを競う。

●チャレンジ創造コンテストコース
からくり機構を使った作品のパフォーマンスを競う大会で全国大会出場を目指します。

●創意工夫工作教室
土曜の午後や日曜、夏休みに自分なりの工夫を入れた作品を作り、クラブ創意工夫作品展に出品します。

●工作技能育成教室
学年に応じてコースが異なり、工作の基礎から、センサーやプログラミングを使った作品作りまで、ものづくりを段階的に学びます。

◆刈谷少年少女発明クラブの沿革
○昭和49年…小学4年生以上を対象にクラブ発足
○昭和54年…対象を小学2年生以上に拡大
○平成14年…OM教室・上級コースを新設
○平成16年
・現在のふれあいプラザゆうきそう内に移転
・OM世界大会初参加
○平成26年…OM世界大会第1位
○平成27年…発明工作入門コースを新設
○令和4年…OMバーチャル世界大会第1位
○令和6年
・AIチャレンジコースを新設
・OM世界大会第1位

◆作品紹介
○磁石おもちゃ(工作技能育成教室基礎コース)
磁石の押し合う力と引き合う力の働きを学び、木工工作の基礎を身に付けます。

○ポーターロボット(工作技能育成教室中級コース)
電気回路や動作を学び、工作の段取りや組み立て順序を自ら考えて作ります。

○倒立振子(工作技能育成教室上級コース)
ジャイロセンサーを使い、タイヤを動かすプログラムを微調整して、2輪のみで長時間安定して倒立する車を作ります。

○ロボットカー(AIチャレンジコース)
レーザーカッターや3Dプリンターを使って部品を作り、マイコンやカメラで標識や信号を把握して自動運転する車を作ります。

■PICK UP 2024OM世界大会優勝
5月末にアメリカで開催された大会に出場し、ビークル部門で優勝したチームでキャプテンを努めた山口さん。競技では、長期課題のビークルを使った英語劇や、その華やかさを競うスタイル、競技開始時に問題が提示される当日課題の総合得点を競いました。
約8カ月前にメンバーが決まり、優勝を目標に練習を開始。練習や合宿を通して一人一人の能力や強みを生かして競技に取り組むようになりました。また、コーチから教わったことやメンバーで話し合って決めたことを教訓として紙にまとめ、練習を始める前にみんなで確認していました。
山口さんがキャプテンとして意識していたことは、チームのメンバーをよく見て、よく話すこと。当日課題の練習で、普段の会話が少ないためにうまくいかないと感じ、「メンバー間の意思疎通を図るため休憩時間にたくさん話したり、練習がない日にもメンバーを誘って遊びに出かけたりした」と話します。その結果、大会出場時には、チームワークが強みと言えるほど仲が良いチームになりました。
「練習を重ねた分、たくさんの観客がいる中でも緊張せず、自信を持って笑顔で演じることができた」と英語劇本番を振り返る山口さん。優勝チーム発表の瞬間は、みんなで手をつないで結果を待ち、チーム名が呼ばれると、喜びを分かち合いながら表彰台に上がりました。
特に、長期課題の英語劇は200点満点と、練習の成果やチームワークを存分に発揮し、優秀な成績を残すことができました。

※詳しくは本紙4ページから6ページ、またはPDF版をご覧ください。

問合せ:刈谷少年少女発明クラブ
【電話】23-1161