子育て 【特集1】「望ましい教育環境」を考える(3)

■望ましい教育環境に関する基本的な考え
教育環境という言葉は、一般的には、自然環境や校舎・教室などの物的環境、教師という人的環境、通学時間や通学距離などのすべてを含みますが、今後、新城市において、少子化が急速に進むことが想定される中で、子どもの数や学校の規模に特化して考えたものを『望ましい教育環境』として提案するものです。

◇小学校
子どもが、社会性を育み、多様性にふれ、互いに切磋琢磨できる環境を保障したいと考えます。学校では、子どもが学級で生活する時間が多いことから、1学級に10人程度以上の子どもがいることを望ましい教育環境として考えます。

◇中学校
小規模小学校が多い本市では、中学校でより多くの仲間と出会うことで、高校進学後や社会人となってからの生活にも円滑につなげられるようにしたいと考えます。子どもが、生涯において新しい環境に適応し、それぞれの環境で新たな人間関係を構築できるように、中学校では、1学年が複数学級で構成されることを望ましい教育環境として考えます。

■教育環境に関する意識調査
新城市で育つ子どもたちのこれからの教育環境を考えるとき、保護者の考えや気持ちを理解したうえで協議を進めていくことが大切です。そこで、市内小学生・園児(3〜5歳)の保護者を対象に意識調査を実施しました。
調査期間:令和6年10月11日~29日
質問項目(一部抜粋):
・小学校の学級の人数・規模について
・小学校の存続・統合について
・中学校の規模について
・中学校の存続・統合について
小学校の存続希望・統合希望についての結果は以下の通りでした。
なお、学級規模に関する結果など、詳しくは市ホームページをご覧ください。
ID:364507404

(1)現状のまま存続を希望する保護者の割合が8割以上の学校
新城小学校、千郷小学校、東郷西小学校、鳳来中部小学校、作手小学校
(2)現状のまま存続を希望する保護者の割合が6割以上8割未満の学校
東郷東小学校、八名小学校、鳳来寺小学校、東陽小学校、鳳来東小学校
(3)現状のまま存続を希望する保護者と統合を希望する保護者の割合がほぼ同じ学校
舟着小学校、黄柳川小学校
(4)現状のまま存続を希望する保護者の割合が統合を希望する保護者の割合を下回る学校
庭野小学校

●保護者意見の一例

◇小規模小学校の存続を望む意見
・少人数のメリットは、先生の目が子ども一人一人に行き届くことと、先生にも相談しやすく、担任の先生以外にも相談しやすいことです。子どもがのびのびとしており、学年を超えて仲がよい。
・自分が住んでいる地域の小学校に通うことで、その地域に根付く思いやふるさとを思う心が育ちます。少人数ならではの子ども同士の密なかかわりや先生とのやりとりが生まれ、少人数だからこそ相手を気遣う機会が増え、思いやりの心が育まれると思います。
・統合することで、通学時間が長くなってしまい、子どもが学校に通うことが大変になったり、急な送り迎えの際、親の負担が大きくなったりするのが不安です。特に、低学年の子どもが遠くの学校に通うのはつらいです。

◇小規模小学校の統合を望む意見
・これからの社会において、コミュニケーション力が重要視されます。子どもたちが大人になり社会に出れば、国内外、世界中にはいろいろな人がいます。違いを知り、受け入れ、認め合い、人とのかかわりの中でしか経験できないことや味わうことができない感情があると思うので、子どもの数が減少するのであれば統合するほうがよいと思います。さまざまな人とのコミュニケーションができる教育環境を望みます。
・複式学級が見込まれる学校においては統合を見据えて動くほうがよいです。学校を維持するために税金が使われています。今後、少子高齢化が進むであろう新城市において、現在の学校数を維持することは苦しいと思います。また、多様な考えを生み出す話し合いは複式学級では難しいと思います。
・少人数のクラスで気の合う友達を見つけるのは難しいです。少人数の場合、一人も気の合う友達ができない可能性もあり、そのまま6年間過ごすよりも、統合することで多くの友達とかかわれるようにしてほしいです。

●中学校の規模についての回答
1学年に複数の学級があることが望ましいと回答した保護者の割合は、新城市全体で約85%でした。しかし、自分の子どもが通う予定の中学校が、現状のまま存続することを希望する保護者の割合は全中学校区とも約80%でした。多くの保護者が、1学年に複数の学級があることを望むが、現状のまま学校の存続も望むという結果になっています。

学校は、子どもたちが成長していく大切な場であるとともに、地域づくりや、まちづくりの拠点でもあります。これからの小中学校のあり方について、今後、慎重な審議が必要であると考えます。

■教育環境に関する基本方針
保護者の意識調査の結果を基に、以下の基本方針を示します。

◇1.基本方針
存続希望の割合が、統合希望の割合を下回る小学校においては、情報を共有するとともに、存続か統合かについて学区で協議し、2年間程度を目途に存続か統合かを決めます。
その他の小学校においても、学校ごとに意識調査の結果を周知し、今後の学校のあり方について協議するため、情報の共有を図ります。

◇2.よりよい教育環境の構築に向けて
(1)学区制(※)の柔軟化について、その導入の是非も含め、検討を開始します。
(2)小学校低学年の児童数が1学級30人を超える学校において、少人数学級の導入を検討します。
(3)学校間交流の積極的な導入を検討し、令和7年度から着手します。
(4)義務教育学校等に関する情報提供を行い、学校運営協議会などで今後の学校のあり方について検討を依頼します。
※市町村教育委員会は、市町村内に小学校(中学校)が2校以上ある場合、就学予定者が就学すべき小学校(中学校)を指定することとされています。通学区域は、就学校の指定をする際の判断基準として、市町村教育委員会が予め設定した区域です。

問合せ:教育総務課
【電話】23-7633
ID:228933262