くらし 市民病院発 ほのか診察室 204話

■室内での転倒予防~身近な危険を知ろう~
監修:市民病院 リハビリ課

2022年に厚生労働省が出した介護が必要となった主な原因の第3位が骨折・転倒(13・9%)です。
転倒の発生場所は、65歳以上が自宅内で77・1%となっており、屋外よりも高くなっています。その中でも、リビング(居間)が約半数を占め、次いで階段、台所の順です。自宅内での転倒は重大な怪我につながることがありますが、環境面の工夫と対策で、そのリスクを大幅に減らすことができます。

◆意外な自宅内の危険スポット
日の大半を過ごす「居室(リビング)」での事故割合が最も多く、階段、台所での事故も多いとされています。

○事故発生場所詳細(屋内)

出典:平成29年版高齢社会白書(全体版)
理学療法ハンドブック 14:在宅での転倒予防 から抜粋

今回は、転倒予防の知識を深め、安全な生活を送るための方法を紹介します。

◆リビングでの転倒予防
○カーペットの安全対策
滑りやすいフローリングは要注意です。必要に応じて滑り止めのカーペットや滑りにくい素材のマットを敷くことをおすすめします。しかし、カーペットのつなぎ目は転びやすいポイントにもなります。裏面にしっかりとテープを貼って固定しましょう。

○電気コードの配置
電気コードは壁に沿って配置し、つまずくリスクを減らしましょう。

○部屋の境目の段差
部屋と部屋の境目に段差がある場合はスロープを使用し、安全に移動できるようにしましょう。

○足元の障害物を片付ける
床に物を置かないことが基本です。無造作に置かれた本や新聞紙、散らかったスリッパなどが転倒の原因となります。床の整理整頓を習慣化しましょう。

◆履物にも注意しましょう
室内を歩くときに、滑りやすい靴下やスリッパを履いていませんか?
特に足の上げにくさを感じたら、スリッパが引っかかることで、つまずく危険が高まります。使用を控えたり、滑りにくい靴下を利用したりしましょう。

◆照明の工夫をしましょう
夜間のトイレや寝室に行く際に、視界が悪いと転倒のリスクが高まります。足元までしっかりと照らすナイトライトを設置したり、明るさを調節できる照明を使ったりすると良いでしょう。

◆階段での転倒予防
階段や段差には手すりを設置することが望ましいです。手すりは体のバランスを崩したときの助けにもなり、移動をより安全にします。

日常の小さなヒヤッとが大きな怪我につながることがあります。
転倒予防策を実践することで、安全で快適な生活環境をつくる手助けとなります。家族や友人とも情報共有し、みんなが安心して暮らせる住まいを目指しましょう。小さな工夫が大きな安心につながるため、この機会にぜひ始めてみてください。

問合せ:市民病院(代表)
【電話】22-2171
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