文化 教えて! 学芸員のタナカさん

歴史民俗資料館の学芸員・田中が町にまつわる歴史や文化等を紹介するコーナーです。

◆戦後80年 空から降ってきたもの 伝単「マリヤナ時報(じほう)」
1945年夏、アメリカの爆撃機から降ってきたのは、爆弾や焼夷弾(しょういだん)だけではなく、「マリヤナ時報」という宣伝ビラ。小型の新聞形式で、日本語の巧みな表現と冷静な論調で戦況の深刻さ、政府の隠している事実を伝えています。授業で聞いたことのある「ポツダム宣言」の全文や、「荒廃か平和か」の選択を国民に問う呼びかけが書かれています。日本人捕虜の元新聞記者らが編集に加わり、本当の新聞のような信憑性がある内容でした。
終戦間近、各地に投下された「マリヤナ時報」は、爆弾ではなく『言葉』で人の心に訴えました。終戦へと向かう一つのきっかけになったと言われています。
一枚の紙が、終戦を早めました。「言葉の力」がいかなる武器よりも人々を動かすという、今の私たちにも大切なメッセージを残しています。

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