くらし 津市(このまち)で輝く vol.105

◆一瞬の判断が勝敗を分かつ1分50秒の水上ドラマ
2020年6月、格上のA級選手たちを相手に、山川さんは会心のスタートを切った。臆することなく内側へ切り込み、水しぶきを上げながら第1ターンマークを旋回。そのまま最終ターンマークまで先頭を譲らず駆け抜け、デビューから1年、待望の初勝利を地元・津で掴(つか)み取った。この大金星で、山川さんは自らの名を水面に刻んだ。
ボートレースは男女混合で行われる競技。モーターを積んだ6艇が水上を疾走する。1分50秒の激しい駆け引きの中、勝敗を分けるのはわずか0.1秒の判断。整備知識、旋回技術、そして平常心を保ち続ける強い精神力が求められる。
この世界を志したのは18歳の時。2歳年上で幼なじみの豊田健士郎選手のレースを見て、その轟音と迫力に心を射抜かれた。難関の養成所を見事に突破しプロとなったが、思うように勝てず引退勧告を恐れる日々もあった。それでも「絶対に諦めない」と心に誓い、ハンドルを握り続けた。今では、着実に勝利を重ねる人気レーサーとして注目を集めている。
昨夏、愛娘の誕生で人生は新たなステージへ。母親として娘に「挑み続ける背中を見せ続けたい」と語る山川さんの目指すA級レーサーへの夢は、まだ第1ターンマークを回ったばかりだ。

ボートレーサー 山川(やまかわ) 波乙(はお)さん
1997年津市生まれ。橋南中学校出身。高校卒業後、ボートレーサー養成所(第124期)を経て日本モーターボート選手会三重支部に所属。2019年、ボートレース津でのデビュー以来、通算866レースに出走。
・カフェ巡り・スヌーピー・チーズケーキには目がない♥
・大切な試合の前に水回りを綺麗にするのが勝利へのルーティーン
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