- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県尾鷲市
- 広報紙名 : 広報おわせ 令和7年7月号
■イシガキフグ
イシガキフグはフグ目ハリセンボン科イシガキフグ属の魚で、世界の熱帯から温帯域に分布し、日本では、北海道以南の浅い岩礁(がんしょう)、サンゴ礁域に生息しています。当地では定置網などで漁獲されていると思われます。
体色は灰色から褐色で、目のあたりから体にかけて数本の黒い帯状の横縞(よこじま)模様があり、体と各ヒレに黒い斑点があります。体表の棘(とげ)はあるものの、体が膨らんでもハリセンボンのように棘が立つことはありません。非常に頑丈な歯を持ち、硬い殻を持つエビ、カニ類や、貝類、ウニ類を食べています。
尾鷲の海で潜水調査をしているとしばしば遭遇し、単体行動であり、岩陰に隠れてじっとしている様子や、非常にゆっくりと泳いでいる様子が観察されます。全長30~50cm程度のものをよくみかけますが、70cmほどに達するものもいるようです。20cmまでの若魚(わかうお)は沖合で浮遊生活をすることが知られていますが、産卵場所は明らかになっていません。初期の生活史も不明でしたが、東京海洋大学の客員教授であるさかなクンが、同大学の准教授との共同研究を行い、令和3年9月に人工ふ化に成功したことから、今後の初期生活史の解明が期待されます。
イシガキフグが多い沖縄や伊豆諸島ではイシガキフグを含むハリセンボン類の食文化があり、鍋や汁もの、唐揚げなどに調理して食べられているようです。