くらし 中村欣一郎市長の山椒(さんしょう)は小粒(こつぶ)でも…Vol.86

■2つの転機
早いもので市長になって2期、8年間が過ぎようとしています。途中誰も経験したことのないコロナ禍がありました。いつ終わるともわからないその対応に追われた期間が長かったこともあり、文字通り「あっ!」という間の8年間に感じています。
就任当初からの大きな課題は何より人口減少、少子高齢化へ対応することでした。対応するというより正面から向き合う「対峙(たいじ)」すると言った方が正確です。子育てしやすい環境づくりや移住者を呼び込む施策をやりながらも、将来人口が減ってしまった中でも、どうこの鳥羽を存続させていくか。市民が心豊かにイキイキと暮らしていくのか、ということに力を入れてきました。人口減少は全国的な流れだからと諦めるわけにはいきません。なんとしても次世代のために、活気ある鳥羽を残さなければなりません。
さてそんな中で大きな転機となったのは、みえ国体を契機に建てたサブアリーナと市民体育館のリニューアルです。市役所隣の市民文化会館が耐震基準の問題で使えなくなっていたのですが、このサブアリーナを文化会館の機能を持ち合わせた小さな体育館にしました。そして同時に本体育館もリニューアルし、近隣にはないエアコンを導入しました。国体はコロナ禍で延期となり、結局開催されませんでしたが、はからずもコロナワクチンの接種会場としてみなさんにもここが周知されることとなりました。おかげで、メインもサブもスポーツ、イベント、講演などで利用が高まり、ほぼ土日には駐車場が埋まっているのを見かけるようになりました。
コロナ禍で大変だったこと、市民が集う場所ができたこと、その経緯が私としてはとても感慨深いです。「たかが体育館、されど体育館」。前述した市民がイキイキ暮らしていくための、まさに人が集う施設となりました。
ただ、市の中心部にあるとはいえ、全ての市民が来やすいわけではありません。そんなかたがたにも気軽に来ていただける移動手段も考えています。また、各地域にも人が集う場所や機会を作っていきます。
もうひとつの転機は鳥羽駅前を活性化する事業にスイッチを入れたことです。華やかかりし昭和40年代にできた、観光・経済面のまちの中心部です。少し元気のなくなってきているこの玄関口を、市民のみなさんの声を集めて元気にしていきます。電車、車、船がコンパクトに交差する結節点は、美しい島々や豊かな海の幸が交差する結節点でもあります。おそらく日本中どこにもありません。みんなの力を結集してこのエリアの活性化を鳥羽全体の元気につなげたいと思います。