- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県熊野市
- 広報紙名 : 広報くまの 令和7年2月号 No.233
■熊野ノ星空
大森尚子(井戸町)
230人目のペンリレー
この春、熊野に引っ越してきました。ようやく観光気分が落ち着いてきた所です。
熊野に来て最も印象的なのは、やはりこの大自然。海の色、広い空。鳥の鳴き声。
一番心に残っている景色は、七夕の夜空です。あんなにも多くの星を、そしてあんなにもはっきりと天の川を観たのは初めてでした。改めて、自然の中に人間は生かされていると感じる日々です。
午前中はとても忙しい職場で働いています。でも皆、周りへの気配りを忘れない方ばかり。温かい職場なので、朝少々眠くても、仕事が終わると体も心も元気になっています。
午後からは自分の時間。焼菓子を作っています。
知り合いのいない熊野で焼菓子の仕事を始めることはあきらめていたのですが、新鹿でゲストハウスを営むご夫婦との出会いがあり、キッチンを貸してもらえることに。そして月に一回、その場所で販売とカフェ営業もさせてもらっています。
私が作る焼菓子のイメージは、「おやつ」です。学校から帰ったらお母さんが出してくれる「おやつ」と、少しおめかししたような喫茶店の「おやつ」。
「自分の家族のために作る気持ちをそのままに」を心に、少しだけ材料にこだわって作っています。
今ここにいるからこそ作れるお菓子は何かないかと考え、あの日観た七夕の星空をパウンドケーキにしました。「熊野ノ星空パウンド」。
この先私がどこに住もうとも、このパウンドケーキを作るたび、見るたびに、この自然豊かな熊野での生活を思い出すのだろうと思っています。私にとってとても大切なお菓子ができました。
次は木本町の野村アイさんです。