文化 伊賀市の文化財159

■上野公園慰霊塔
上野公園の芝生広場の一角に慰霊塔があります。この慰霊塔は、戊辰(ぼしん)戦争から第二次世界大戦に至る戦争で亡くなられた市内の戦没者を慰霊し、戦争の悲惨さを忘れることなく平和を願うため、昭和30(1955)年に建てられました。
慰霊塔は、8.7m四方、高さ5.5mで、鉄筋コンクリートの建造物です。方形の基壇上に6本のコンクリート製の円柱が配され、その上部はコンクリート壁が四方を囲んでいます。基壇の奥には銘板収納室があり、花崗岩(かこうがん)製の外壁で中央に銅板製の扉、その上に「慰霊」と刻字された黒御影石がはめられています。また、基壇の上面はコンクリート製のタイルで、中央は円形にくりぬかれ、イチイの木が植えられています。
この慰霊塔は、鉄筋コンクリート製の柱や壁に囲まれた人工空間と自然(樹木)を対比しつつ、全体として調和を図りながら、慰霊の空間を作りだしています。また、鉄やコンクリートといった素材を使用しながらも、慰霊塔にふさわしい荘厳な趣(おもむ)きのある洗練されたモダニズム建築です。設計の原案は小倉傳治さんで、昭和30(1955)年5月に完成し、10月には竣工(しゅんこう)式が行われました。
慰霊碑の北西にある付属施設の献詩碑は、小倉さんが平和の尊さを詠んだ詩が刻まれています。正面の鉄製花台(竣工時)や南西の手水(ちょうず)塔(昭和38(1963)年)は、上野市遺族会(現伊賀市遺族会)から寄贈されました。
上野公園慰霊塔は、戦没者への慰霊と平和の尊さを後世に伝える貴重な建造物として令和7年3月に市指定文化財となりました。

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