くらし 9月21日(日)は認知症の日(アルツハイマーデー)

認知症は、誰でもかかる可能性のある病気です。認知症の早期発見・早期治療や周囲のかかわり方で、認知症の発症や進行を遅らせ、その人らしさを長く保つことができます。
誰もが認知症の正しい知識を持ち理解することで、偏見や差別がなくなり、認知症になっても安心して暮らせる社会が実現します。

■認知症の日(アルツハイマーデー)とは
1994年、国際アルツハイマー病協会は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しており、この日を中心に世界中で認知症の啓蒙活動が行われています。
また、わが国でも2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」において、国民の間に広く認知症についての関心と理解を深めるために、毎年9月21日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めています。

■認知症啓発イベント
市では、9月10日(水)に認知症の啓発イベントを行います。「認知症の人と家族の会」や「キャラバン・メイト」の活動紹介、物忘れ予防相談会などを実施します。事前申込は不要ですので、お気軽にお越しください。
日時:9月10日(水)午前10時~正午(相談の受付は午前11時30分まで)
場所:モリーブ 1階 セントラルコート

■オレンジライトアップ
市役所および市立図書館では、認知症への理解促進を目指し、認知症理解の普及啓発のシンボルカラーであるオレンジ色のライトアップを行います。
下記の期間中、オレンジライトが市役所や図書館の玄関・道沿いに植えられた木々を照らします。ぜひご覧ください。
日時:9月30日(火)までの日没~午後9時

■認知症関連グッズの展示
市役所、市立図書館・北部図書館で、認知症関連グッズの展示を行います。
・市役所
日時:9月1日(月)~30日(火)
場所:1階 納税課前
・市立図書館
日時:9月5日(金)~29日(月)
場所:1階 ギャラリー
日時:9月1日(月)~30日(火)
場所:2階 健康医療情報コーナー
・市立北部図書館
日時:9月1日(月)~30日(火)
※各イベント情報については、市HPにも掲載しています。

■認知症でも前向きに サポートから 本人に寄り添うケアへ 認知症の治療(非薬物療法)
藤本クリニック(認知症専門医) 藤本 直規(ふじもとなおき)院長

●認知症治療のいま
認知症の治療には、薬による治療と、非薬物療法といわれる薬以外の治療があります。非薬物療法は、具体的には、診断を受けた本人や家族への精神的な支援、多職種で支える症状悪化時の適切な対応、当事者同士の仲間づくりなどがあります。また、アルツハイマー型認知症の治療薬としては、長年投与されてきたドネペジルなどの4種類の薬剤があります。また、最近、アルツハイマー型認知症の原因物質の一つといわれるβアミロイドを取り除く新しい点滴薬も利用できるようになりましたが、これらの新薬の効果は今のところ劇的なものではなく、少数例とはいえ、脳出血を起こすこともあり、地道に経験を重ねなければなりません。従って、現在のところ認知症の根治は難しく、診断後の非薬物的療法が重要です。
認知症についての、住民の人の認識は大きく変わってきており、早期発見・早期治療という考え方が定着してきており、認知症の前段階といわれる“軽度認知障害”(MCI)状態で受診する人たちも増えてきました。

●認知症を話題にできる非薬物療法の居場所
風邪をひいたらお医者さんに行くように、もの忘れが心配になったら医療機関を受診する、そんな行動をする人が増えるためには、認知症が特殊な病気ではないという意識を広げて、受診の抵抗感を下げることが重要です。認知症という言葉に抵抗を感じる人、不安を感じる人、感じ方はそれぞれですが、病気を話題にすることを避けたり、隠したりせずに集まれる居場所が大切だと考えています。
私の病院では、診断直後のMCIの人や軽度期認知症の人の居場所として、“外来心理教育”という外来での居場所を運営しています。また、軽度期や若年期の認知症の人が気軽に参加できる、参加者が活動の内容を自分たちで決めるデイサービス“もの忘れカフェ”があります。また、地域の人たちとの交流を促す居場所「Hej(ハイ)」などの居場所も作りました。今後も、「薬以外のサポートによるいろいろなケアの場」といった、非薬物療法による診断後の支援に力を注いでいきます。

●認知症と診断されても前向きに過ごせるまちに
また、地域に目を向ければ、地域の医師や、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどの支援者が多職種で集まり議論する“認知症の医療と福祉連携IN守山野洲”を、10年以上行っています。毎回、数十人の専門職が集まって、認知症の人と家族への支援の仕方を議論しています。私も認知症の専門医として、連携や協力を惜しみません。
早期発見・早期治療の大切さは、他の病気と変わりません。認知症の人と医師や地域、家族がつながって支え、アルツハイマー病と診断されても、自分で元気にやっていこうと前向きに過ごす人が当たり前のまちであってほしいと思っています。

問合せ:長寿政策課
【電話】584-5474【FAX】581-0203