- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府池田市
- 広報紙名 : 広報いけだ 2025年8月号
■骨粗しょう症について
整形外科部長 三輪 俊格
私たちの骨は、常に古い骨が吸収されて新しい骨を形成するリモデリングが行われています。しかし、骨の材料となるカルシウムやタンパク質の不足が慢性化したり、生活習慣病などで骨への血流が悪化したりすると、骨の形成が吸収に追いつかなくなります。骨の量が減少すると、軽いけがでも骨が折れてしまう骨粗しょう症が発生します。
介護が必要になった原因として、「転倒による骨折」は認知症・脳血管疾患に続き上位3位に入っています。また、骨粗しょう症自体が年齢の要因を差し引いても死亡率が1.4倍に上昇することが報告されており、骨粗しょう症による骨折で多い大腿(だいたい)骨頚部(けいぶ)骨折の1年後の死亡率は22%と、決してがんに引けを取らない死亡率になっています。骨粗しょう症は骨折するまで分からない沈黙の疾患であり、死亡率や要介護状態とも深く関連する疾患なのです。
骨強度は若いうちに骨の最大骨量が決まり、それより後は一定の骨量で推移していきます。栄養不足や運動不足の状態が続いたり、生活習慣病を患ったりすると骨が徐々に弱くなります。また、女性の場合は閉経後に急速に骨量が減少します。骨量の減少を緩やかにするため、バランスの取れた栄養摂取と定期的な運動を心がけましょう。
60歳以降は、骨密度が骨粗しょう症領域に入る方が多くなりますので、定期的な骨密度の健診をお勧めします。骨粗しょう症になった場合は投薬治療が必要になります。骨折が生じる前に治療開始できるようにしましょう。
ご興味がある方は、かかりつけ医に相談してください。
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