- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府泉大津市
- 広報紙名 : 広報いずみおおつ 令和7年10月号
人間が人間らしく生きるために、すべての人が等しく持っている権利、「人権」について考えるコラムです。
■インクルーシブデザインと人権の話 誰もが使いやすい社会へ
皆さんは「インクルーシブデザイン」という言葉を聞いたことはありますか?直訳すると「包み込むデザイン」と言います。年齢、性別、障がいの有無、国籍などに関係なく、できるだけ多くの人が快適に使えるように工夫されたデザインのことです。
たとえば、駅や公園で見かけるスロープや音声案内、エレベーターに設置された押しやすい大きなボタンなどの工夫は、車いすを使う人や視覚に障がいがある人だけでなく、ベビーカーを押す人や重い荷物を持つ人にとっても便利です。つまり、誰かのための配慮が、多くの人にとっての「使いやすさ」につながっています。
インクルーシブデザインは、人権の視点とも深く関係しています。人権とは、「誰もが自分らしく生きる権利」のことであり、日常生活の中で、「これは使いにくい」「ここには入れない」と感じると、その人の自由や参加の機会が制限されてしまいます。そうした「見えにくい不便さ」に気づき、取り除いていこうという考えが、インクルーシブデザインの根底にあります。
特別なことをするのではなく、「みんなの視点に立って考える」ことが大切です。たとえば、イベントのチラシに分かりやすい言葉や大きめの文字の使用、建物の案内表示にやさしい日本語や多言語表記を取り入れるなど、身近な工夫の積み重ねが、誰もが暮らしやすいまちをつくる第一歩になります。
「みんなの視点に立って考えたデザイン」は、「みんなの人権を守る社会づくり」そのものです。インクルーシブデザインの考え方を私たち一人ひとりが意識することで、よりやさしく、より暮らしやすい地域が広がっていきます。
本市においても、今後リニューアルする公園においてインクルーシブデザインを取り入れた遊具の設置なども検討するなど、より多くの人に楽しんでもらえる公園づくりに取り組んでいます。
大切なのは、「ふつうの暮らしの中で気づき、行動すること」です。小さな気づきが、だれかの大きな安心につながるかもしれません。みんなが自分らしく生きる社会づくりのために、私たち一人ひとりができることを一緒に考えてみませんか。
