- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府高槻市
- 広報紙名 : 広報たかつき(たかつきDAYS) 令和7年10月号 No.1451
■埋蔵文化財調査センター50周年 高槻の遺跡発掘半世紀の歩み
ID:004651
市内の遺跡(埋蔵文化財)の発掘調査の拠点として、文化財保護を担ってきた「埋文センター」こと埋蔵文化財調査センター。開設50周年を迎えた今年、これまでの調査成果からその役割を振り返ります。
◆遺跡の調査・保存を担う全国初の拠点
高度経済成長期の昭和40年代、宅地造成などの開発ラッシュが続き、遺跡の発掘調査、出土品や記録の整理・保管を組織的に進める必要がありました。
こうした状況の中、調査体制が整いつつあった市では、昭和50年に全国で初めて遺跡の調査と保存を行う拠点として、現在の南平台五丁目に埋文センターを開設しました。
◆出土品の調査・保存専用の機能的な設備の数々
埋文センターは、出土品の調査・整理・保存を効率的に行うために工夫されています。広く設けられた収蔵スペースはもちろん、出土品の洗浄や接合、復元などを行う整理室や製図室、大きな出土品も撮影できるよう天井が高く設計された撮影部屋、木製品を保存するための大型の水槽など、専門的な設備が整っています。
◆遺跡が憩いの空間に文化財を活用したまちづくり
埋文センターでは、発掘調査や出土品の整理・保管だけでなく、調査・研究に基づいた出土品の展示や紹介などで成果を公表しています。
また、今城塚古墳や安満遺跡を歴史が体感できる史跡公園として整備し、文化財を生かしたまちづくりにもつなげています。
■50年間の主な調査成果
※カッコ内は調査開始時期
▽高槻城跡(昭和50年~)
高槻城跡の最初の発掘調査は今から50年前。この調査では、本丸の石垣を支える基礎の構造から、江戸時代の土木技術の高さが明らかになった。後に武家屋敷跡からは将棋の駒も出土している。
▽新池遺跡(昭和63年~)
埴輪(はにわ)窯18基、埴輪づくりの工房3棟などが見つかった全国でも有数の埴輪製作遺跡。5世紀中頃から約100年間にわたり生産が行われた。大王墓の埴輪づくりの様子が分かる全国唯一の遺跡。
▽今城塚古墳(平成8年~)
淀川流域最大級の前方後円墳で真の継体大王(天皇)の墓と考えられている。日本最大の家形埴輪をはじめ、人や動物の埴輪など200点以上が出土した。他の陵墓とは違い、唯一自由に立ち入ることができる。
▽闘鶏山(つげやま)古墳(平成14年~)
全国的にも珍しい未盗掘の石室が2基見つかった。内部には、副葬品の青銅鏡や武器、石製の装飾品などの他、人骨がそのまま残っていることが確認され、古墳の埋葬儀礼を知る重要な鍵となっている。
▽安満遺跡(平成20年~)
弥生時代の人々が暮らした居住域、水田などが広がっていた生産域、100基以上の墓が確認された墓域の3要素がそろった貴重な遺跡。稲作文化をはじめとする弥生人の暮らしぶりが明らかになった。
▽芥川城跡(令和2年~)
戦国時代の摂津国最大級の山城跡。織田信長が京都に入る前に、近畿中心部を支配していた三好長慶などの居城として有名。曲輪(くるわ)や土塁、石垣などの山城の遺構が良好に残っている。
