- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府高槻市
- 広報紙名 : 広報たかつき(たかつきDAYS) 令和7年10月号 No.1451
高槻市立埋蔵文化財調査センター(埋文センター)は、全国の自治体第1号の埋蔵文化財センターとして開設50周年を迎えました。この半世紀で数多くの遺跡を調査してきましたが、市域の発掘調査の始まりはさらにさかのぼります。
広大な公園となった安満遺跡は、今から約100年前、昭和3(1928)年に京都帝国大学の農場設置の際に弥生土器や石器の発見をきっかけに行われたのが最初の発掘調査です。次いで昭和9(1934)年には、同大学の阿武山地震観測所の工事中に、藤原鎌足の墓とされる阿武山古墳が発見され、緊急に調査されました。
昭和30年代以降、高度経済成長期には名神高速道路の建設や大規模な宅地造成が相次ぎ、本格的な発掘調査が始まります。当時の調査は府や大学の研究者の協力で行われました。昭和32(1957)年に初めて弥生時代の墓を調査した天神山遺跡、昭和38(1963)年に前方後円墳を全面発掘した弁天山古墳群、昭和43(1968)年に環濠から多量の木製品が出土した安満遺跡などは、考古学史に残る重要な調査です。
昭和44(1969)年以降は市の文化財担当職員による調査が始まり、同年には奈良時代の木簡が出土した市庁舎建設に伴う上田部遺跡などの発掘調査を精力的に進めました。こうした積み重ねの中で多量の出土品や記録類を適切に整理、収蔵する発掘調査の拠点の必要性が高まり、やがて昭和50(1975)年の埋文センター開設へとつながっていきました。
およそ1世紀にわたる発掘史を物語る出土品と調査記録の数々は、全国に誇る市の豊かな歴史を裏付ける証拠となっています。
(埋蔵文化財調査センター)
