文化 【クローズアップ1】高槻の遺跡発掘 半世紀の歩み(2)

■出土品が歴史館に展示されるまで
土器や埴輪などの出土品は、発掘調査の後、さまざまな作業を経て歴史館などに展示されます。これらの作業は全て埋文センターで行っています。今回は、普段目にすることがない埋文センターでの作業の様子を紹介します。

・私がお伝えします
埋文センター所長 今西康宏さん

1.事前調査
遺跡の範囲内で工事などが計画されると、事前に発掘調査を行う必要があります。計画地周辺の過去の調査記録を調べて、発掘調査の準備を進めます。
試し掘りをして、計画地の遺跡の深さや遺構の密集度合いなどを調べることもあります。

2.発掘調査
遺跡の深さまでは機械で掘り進めますが、細部は土の違いを確かめながら人の手で。左の写真では地面から深さ1.5m程度掘り下げています。
「発掘調査では、地層の重なりや土の色・質の違いから、時代の新旧などを見分けます」

3.遺構の記録
発掘調査では、昔の人が造った建物などの跡が見つかります。そういった遺構は、写真や測量図面で記録を残します。

4.出土品の洗浄・復元
出土品は、ブラシなどで、表面に付いた泥や汚れを優しく丁寧に落とします。出土品は遺跡の年代や内容を知るための大切な手がかりです。
復元の前に破片の一つ一つに出土した地点や日付などのデータを記入。これらをつなぎ合わせ、全体像を明らかにします。足りない部分は石こうなどで補います。

5.出土品の記録
洗浄を終えた出土品は、図面や写真などで記録します。これらの記録は、遺構の記録とともに報告書にまとめます。

6.保管・公開
記録を終えた出土品は、収蔵庫で保管します。その後の調査・研究により明らかになった成果をもとに、展示などで市民の皆さんに公開します。
「公開するのはえりすぐりの優品です」

■この出来事知ってる?覚えてる? 全国から注目を集めた高槻
(1)現地説明会に2,800人超
古曽部・芝谷遺跡は、大規模な高地性集落の調査としてマスメディアで大きく報道された。平成4年の現地説明会には、全国から多くの人が訪れた。

○古曽部・芝谷遺跡
弥生時代後期の遺跡。丘の斜面に環濠が巡らされていて、90棟以上の竪穴住居跡や土器、鉄器などが見つかった

(2)卑弥呼の鏡が高槻に?
安満宮山古墳からは、国内最古の年号鏡と三角縁神獣鏡が出土。魏(ぎ。現在の中国)が卑弥呼に与えたものではないかと全国から注目を集めた。

○安満宮山古墳
3世紀後半頃の古墳。現在は復元整備し、ガラス越しに埋葬状況を見ることができる

問合せ:埋蔵文化財調査センター
【電話】694-7562

次ページでは10/18(土)から開催する企画展の見どころを紹介

■今城塚古代歴史館で企画展 発掘調査を振り返る
これまでに市内で行われてきた半世紀にわたる発掘調査を年代ごとに紹介します。ここでは、代表的な遺跡とその出土品や見どころを皆さんにお届けします。
ID:156816

1.全国初の全面発掘 弁天山古墳群
南平台の弁天山古墳群は、岡本山古墳、弁天山古墳、弁天山C1号墳の三つを中心とした古墳群です。中でも弁天山C1号墳だけは、本格的な発掘調査が行われ、全面発掘した前方後円墳として全国初の事例になりました。
青銅鏡の他、矢じりや石製の腕輪などを展示します。

2.関西最大規模 郡家今城遺跡
三島高校周辺に広がる郡家今城遺跡は、関西最大規模の旧石器時代の遺跡です。狩猟に使った石器、調理に用いた焼け石などが見つかり、出土品は府の有形文化財に指定されています。

3.弥生人の営みが見えてくる 安満遺跡
安満遺跡からは大量の弥生土器の他、農耕具や石包丁などの木製品、石製品が出土しました。日々の暮らしを営んだ住居、食生活を支えた水田、家族ごとの墓という三つの要素が見つかった同遺跡は、米づくりが始まった弥生時代の集落と当時の暮らしぶりを伝えてくれます。

4.最新成果の注目遺跡 高樋古墳群
土室町で見つかった5世紀後半の古墳群です。周辺には、古墳時代中頃から三島の開発に関わった首長の墓域「土室古墳群」があり、高樋(たかひ)古墳群もその一つです。
今回の企画展では、新たに復元した初公開の家形埴輪を展示。最新の成果をぜひ自分の目で。

◇今城塚古代歴史館企画展 発掘調査の半世紀
日時:10/18(土)~来年2/11(祝) 10:00~17:00(原則月曜は休館。入場は16:30まで)
場所:今城塚古代歴史館
料金:無料

問合せ:【電話】682-0820

問合せ:今城塚古代歴史館
【電話】682-0820