健康 【特集1】乳がん・子宮頸(けい)がん―ずっと、そばにいるために―(2)

■〔Interview〕全国のピンクリボン運動の草分けとなる団体が寝屋川市で生まれたことを知っていますか?
ピンクリボン運動とは、乳がんの正しい知識や乳がん検診を啓発し、早期受診の推進などを目的として行われる世界規模のキャンペーンです。
日本では、認定NPO法人J.POSHがピンクリボン運動の草分け的存在であり、2000年代初期からの啓発活動は、国内の乳がん啓発の普及に大きく貢献したことで知られています。

◆設立メンバーに聞く
認定NPO法人
J.POSH
事務局長・理事
平田 以津子さん

◇寄付金で運営
Q:J.POSHの活動について教えてください
平田さん(以下平田):乳がんの正しい知識をはじめ、乳がん検診を受けやすい環境づくりのために医療機関などに働きかけを行っています。
また、乳がんに罹患された方や、その家族への支援、患者を保護者に持つ高校生への奨学金などのプログラムを、企業などからの寄付金を基に運営しています。

◇がん治療が辛くても乳幼児の子育ては待ったなし
Q:子育て世代の女性にとって、乳がんの恐ろしさとはどんなことがあるでしょうか?
平田:そもそも小さな子どもを抱えながらの通院や入院治療となってしまうことです。
患者さんご自身が辛いときでも乳幼児の子育ては待ったなしです。家族も仕事があったりで、なかなか手伝ってもらえないのが現状です。
ご自身ががんの治療でゆっくり休めない辛さをはじめ、子どもを外で遊ばせる機会が少なくなったことへの申し訳なさで自分を責めてしまう方がたくさんおられます。

◇出産直後に子どもと離れ…
Q:支援されていた経験の中で、辛かったエピソードがあれば教えてください。
平田:妊娠中に乳がんが見つかり、帝王切開で出産の直後に乳房切除の手術を受ける方がいたのですが、身内に赤ちゃんの面倒を見てもらえる人がおらず、産まれた赤ちゃんを乳児院に預けざるを得なくなってしまった方がいました。お母さんになったのに、子どもと一緒の時間を過ごすことが出来ず、支援している私たちも胸が張り裂けそうな思いを抱きました。
また、抗がん剤治療をしながら子育てされてる方からの辛い声を聞いたり、皆さんのあまりに壮絶すぎる状況は、簡単な言葉で応援するのに躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうになるほどです。

◇日本の乳がん啓発活動は寝屋川市が起点の1つ
Q:J.POSHは日本のピンクリボン運動の草分け的存在ですが、寝屋川市に縁があると聞きました。
平田:J.POSHは2002年(平成14年)、高校の同級生だったメンバーで設立しました。そのメンバーのうち半数が寝屋川市民です。そういう意味ではピンクリボン運動を啓発するという私たちの活動の起点の1つが寝屋川市だと言えるかもしれません。
もっと乳がんに対する理解を深め、寝屋川市のたくさんの女性が乳がん検診を受けてくれればと思います。

◆Message
◇まずは自分の乳房に関心を
早期発見で元気に過ごしている方はたくさんおられます。そのためには定期的な検診受診が大切。大切な家族、そしてあなた自身のために、まずは自分の乳房に関心を持ってください。

■今回の特集を読んで気になった人は、検診を受けてください。
子どもたちや、家族、そしてあなたのためにも。

■ママも子どもも子宮頸がんについて知ってください
子宮頸がんは、ウイルス感染を防ぐことで、予防できます

◆体験談~がんと向き合う~
◇子どもと2人で泣きました
子宮頸がんと診断されたときは、中学生の子どもに全て話して、2人で泣きました。
子宮全摘とリンパ節の摘出。子どもの受験はどうなるんだろう。入学式見られるかな。生命保険解約したばっかじゃん、と、いろいろ考えて泣いてを繰り返しました。

◇家族みんなで苦しむ日々
両親のショックが大きく、私よりも泣いている母親を毎日見るのが辛かったです。そんな家族には「大丈夫だよ!」って強く見せてたけど、家族がいないところでは一人で泣いていました。家族みんなで苦しみ続けました。

◇不安で食事もままならず
定期健診で異常が見つかりました。がんの確率が高いという検査結果で、ショックが大きかったです。子どもはまだ2歳で、実家が遠く、入院になればどうしようかと毎日思案に暮れました。このまま、子どもを残して…と悪い方へ考えて、食事もままなりませんでした。

◆information 1
罹患者数のピークは40歳代に頂点に達し、子どもがいる人は40%以上です。乳がんと同様、子育て世代が直面する疾患の1つです。
参考:飯島美穂、小松浩子、仲村勝
「子宮頸がん患者の就労実態と就労者の特徴」日本がん看学会誌35巻2021年

◆information 2
ごく早期のがんを除き、多くは子宮を全摘出する治療が推奨されます。
※主治医の総合的な判断によります。
参考:公益社団法人日本婦人科腫瘍学会「子宮頸癌治療ガイドライン2022年版」

◆information 3
全体の患者数も20年前と比べて約1.5倍に増えています。
・1999年6,936人

・2019年10,879人
参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」

◆子宮頸がんで苦しまないために!!
◇今からできること!
日本では、小学校6年生~高校1年生相当の女の子にHPV(ヒトパピローマウイルス)感染予防ワクチンの接種を提供しており、将来の子宮頸がん発症の予防を図っています。
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◇20歳になったらできること!
HPVワクチンを受けていても、早期発見のための検診が20歳から推奨されます。

問合せ:企画三課
【電話】813・1146