文化 [特集]和泉市久保惣記念美術館 特別展(1)

Over The Waves-南蛮・万博・ジャポニスム-
11.3(月・祝)まで

この特別展は、大阪・関西万博の開催を記念し、「東西文化交流」をテーマに、日本とヨーロッパが互いにどのように影響し合ってきたかを16世紀から20世紀にかけての美術作品や関連資料でご覧いただきます。
また、日本が初めて参加した1867年のパリ万博などに注目し、日本と西洋の400年にわたる文化交流も紹介します。
「南蛮」とは、16世紀に日本へ来たヨーロッパ人を当時の人びとが呼んだ言葉です。南蛮美術とは、そのヨーロッパの人を描いた絵画や、ヨーロッパ人向けに作られた工芸品のことで、屏風や漆器(しっき)などを展示します。
19世紀から始まった万国博覧会に、日本は1867年のパリ万国博覧会から本格的に参加し、美術工芸品を出展しました。
当時の日本館はとても人気を集め、ヨーロッパでは、「日本ブーム」が広がりました。
今回の展覧会では、万博に出展された作品のほか、「ジャポニスム」と呼ばれる日本のデザインや浮世絵版画が影響を与えた絵画も展示します。
10月13日(月・祝)で大阪・関西万博は閉幕しますが、400年余りのヨーロッパとの交流の中で生まれてきた作品をこの機会にご覧ください。

■南蛮美術と江戸時代の東西文化交流
◇重要文化財 洋人奏楽図屏風(ようじんそうがくずびょうぶ)
桃山時代・16世紀 MOA美術館蔵
ヨーロッパの人びとが日本に到来すると新しい文化や技術が伝わりました。絵を描く際に陰影を表現したり部分的には遠近法を用いたりして装飾的で平面的な日本の絵画と異なる表現が生まれました。この屏風も西洋人の教えのもと制作されました(10月7日から展示)。

「桃山時代の”日本人”が描きました」
本村さん(美術館)

◇天正かるた
桃山時代・16世紀 滴翠(てきすい)美術館蔵
16世紀にポルトガルから伝えられたかるたを模倣(もほう)して天正年間(1573〜1592)に製作された木版摺りのかるたです。
1組48枚の内の1枚だけですが、現存唯一の稀少な天正かるたです。今のトランプのキングのような図が使われています。

「カードゲーム 日本上陸」
東さん(美術館)

◇花鳥蒔絵螺鈿書箪笥(かちょうまきえらでんしょたんす)
桃山時代・16世紀 京都国立博物館蔵
ヨーロッパで使用されていた箪笥の形態をそのままに、金と貝片(かいへん)を装飾に使用した漆器の技法により、日本独自の装飾が施されています。
ヨーロッパ人向けに日本で作られた豪華な1点です(10月7日から展示)。

◇世界地図帳(世界劇場)
アブラハム・オルテリウス ベルギー・1570年 和泉市久保惣記念美術館蔵
天正遣欧使節(てんしょうけんおうしせつ)の少年たちが1590年に帰国したときに、オルテリウスが制作した世界地図帳を持ち帰り、豊臣秀吉に献上しています。
本作は、同時期に出版されたオルテリウスの世界地図帳のドイツ語版初版です。

◇色絵紋章文皿(いろえもんしょうもんさら)
江戸時代・18世紀 大阪市立東洋陶磁美術館蔵
佐賀県の伊万里焼(いまりやき)はヨーロッパ向けに磁器製品の製作がされていました。
ヨーロッパの文様(もんよう)を描いた作品の注文もされており、この皿には中央円内にヨーロッパの貴族の紋章が金、朱色(しゅいろ)と染付(そめつけ)で描かれています。

「日本のやきものが大好評」

◇西洋人樽造図(せいようじんたるづくりず) 司馬江漢(しばこうかん)
江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
浮世絵師としても絵を描いていた司馬江漢は、西洋の技法を取り入れて銅版画や絵画を制作しました。
この作品は荏胡麻油(えごまあぶら)を混ぜて油絵のような質感を作り出しています(10月7日から展示)。

「浮世絵師が西洋絵画にチャレンジ」

■美術館入館割引券 (有効期限R7.11.3)
切り取って美術館に持って行くと入館料が2割引に(1枚で5人まで・コピー不可)。「関西文化の日」にちなみ、10月31日(金)、11月1日(土)は入館料が無料。
※詳しくは本紙をご覧ください。