- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県多可町
- 広報紙名 : 広報たか 2025年8月号
多可町長 吉田 一四
■酒米「山田錦」を守り継ぐ
梅雨が明け、非常に暑い日が続いており、毎日熱中症警戒アラートが発令されている状況です。皆さん、休憩や水分を十分とり、熱中症対策をお願いします。
8月3日には多可町制20周年記念式典を計画しており、あすみるでも「あすみるEXPO2025」と称したイベントを開催します。
暑い中のイベントになると思いますが、熱中症対策に十分配慮して開催いたしますので、ぜひご参加ください。
さて、この猛暑の中ですが、多可町の農家の皆さんは、山田錦の生産に精力的に取り組んでおられます。この気候では、これまで通りの肥培管理で品質を確保するのが困難で、作付けの時期や肥料そして灌水方法に新たな検討が求められている状況です。
これに加えて、今年は「令和の米騒動」と言われる、米の高騰傾向が見られ、今後収穫される新米の価格にも影響が出ることが懸念されます。
一方、酒米の山田錦は、主に酒蔵が購入するため、需要と供給のバランスの崩れによる価格の急変はありません。そのため、食用米が高騰し、酒米を超える価格となることが予想されます。
山田錦は高温に弱く、生産が難しい性質であること、さらに食用米と価格が逆転する状況になった場合、作付けの減少につながり、山田錦を生産するより、食用米を生産するほうが短期的に有利だという状況になることも考えられます。
多可町の酒米農家は、「村米制度」で酒蔵との契約に基づいて生産していることから、その傾向は強くなるのではないかと懸念しています。
今年、日本農業遺産として認定された「兵庫の酒米「山田錦」生産システム」の本質は、酒蔵と生産農家の相互の信頼関係に基づいた有機的な関係です。このシステムを継承し、多可町の基幹産業である農業を守る施策が必要と感じています。