くらし 特集 地域の将来を考える-未来のために、今できること-(1)

「なんかおもしゃいことやろらよ!」
麻生津地区からは、そんな声が聞こえてきます。
地域の将来を本気で考え、本気で楽しむ人たちを取材してきました。

紀の川市東部に位置する麻生津地区は、紀の川の南に広がる自然豊かな地域です。約960人が暮らすこの地域は豊かな自然に加え、歴史と文化が息づいています。
1900年代前半には、地区内にある飯盛鉱山で大規模な銅の採掘が始まり、昭和25年には、約3,100人が住む活気あふれる村として栄えました。しかし、閉山後は徐々に人口が減少。現在は当時の約3分の1となっています。
このような地域の現状を変えようと、地域住民や出身者などで構成される「麻生津の将来を考える会」が活動しています。平成30年に有志16人で結成され、山道の整備や地元の行事存続のための活動など、地域課題解決に向けた活動を行っています。
また、令和2年には、YouTube「麻生津チャンネル」を開設。当初、地域の魅力を地域外に発信するため、歴史や農業などを中心に配信していましたが、現在では、地域行事などを配信し、地域内でも大人気のチャンネルとなっています。
さらに、令和6年度からは「麻生津ふるさとサミット」と題し、地域の将来を担う子どもたちが地域に愛着を持てるよう「地域を考え、知ってもらい、一緒に取り組んでいける」きっかけ作りを行っています。
今回の特集では、地域の将来を子どもたちと本気で考える「麻生津ふるさとサミット」に迫ります。

●Interview 地域の未来を地域で考える「麻生津の将来を考える会」
「買い物難民になったなー」この立ち話が会設立のきっかけでした。地域内に唯一あったコンビニが廃業。買い物をする場所がなくなり、麻生津小学校の生徒数も年々減少し、統廃合の話が出てきた頃でした。このままだと寂しい地域になってしまうと思い、地域住民にすぐに声をかけ、何度か協議を重ね、設立しました。他業種のメンバーが集まったことにより、幅広い活動ができており、自分たちのペースを乱さずに、とにかく楽しみながら活動を行っています。この先、地域に住む子どもたちが地域外に出たとしても、帰ってきたいと思える場所を残したいです。
麻生津の将来を考える会 岡豊章 会長

▽麻生津(おおづ)地区
人口:967人(6年3月末)
世帯数:427世帯
北涌・西脇・西脇北・横谷・麻生津中・赤沼田の6自治区で構成されている。
・地域で大人気のYouTubeチャンネルはこちら!(本紙参照)

●Interview 地域が誇る行事や場所を守る
麻生津地区には、運動会や盆踊りなど、長い間行われてきた行事が多くあります。また、茶屋町と称される古い街並みや和歌山県指定の天然記念物「桂樹」など、魅力的な場所もあります。
私自身、約40年間体育委員長をしているので、地区の運動会は地域住民全体で楽しめるように試行錯誤を繰り返してきました。毎年新しい競技を追加し、全世代が楽しめるように改善しています。地域行事は、人と人とのつながりをより密にするものと考えているので、何十年先も続いていく行事にしたいです。
地域行事や地域の魅力を将来につないでいくことも、私たちの活動のひとつだと思っています。
麻生津の将来を考える会 上岡一夫 副会長