しごと おかえり、関鯨丸。(2)

■鯨に懸ける思いを聞く
操業を終え、下関漁港に停泊する捕鯨船・勇新丸。この船で20年間砲手を務めるのが、下関市在住の平井智哉さんです。
20年前、自ら希望して砲手の道を歩み始めた平井さん。射撃の机上計算に始まり、ドックの中でブイを浮かべて捕鯨砲を構える練習、そして南極では、浮いている氷を的にして、船で走りながら当てる練習など、数々の訓練を重ねてきました。砲手として、鯨を撃つときのことを平井さんはこう話します。「一発で急所に当てることだけ考えています。一頭の鯨から得られる利益は大きい。燃料や手間などコストもかかっていますし、急所以外に当ててしまうと、鯨が暴れて肉が傷む。苦しめないためにも、一発で当てることを大切にしています」
いつの頃からか、毎朝捕鯨砲の状態を見てイメージトレーニングをするのが日課になったという平井さん。朝起きて、ぱっと構えて照準がぴったり合うかを確認する、命と向き合う覚悟が伝わってきます。
そんな平井さんでも、命を頂くということを現場で意識できるようになったのは最近のこと。
「鯨が息を引き取る時、目の力が抜けていくのを見て、もう終わるんだなということを感じられるようになった」のだそうです。
最後に、平井さんの鯨への思いを伺いました。「ぜひ若い人にも食べてほしいです。私たちは、できるだけおいしい鯨を届けられるように頑張っています。みんな気持ちを注いで製品を作っているので、食べてうまいなって、思ってもらいたいですね」

■捕る人
勇新丸・砲手[33年目]
平井 智哉さん

下関市在住。出身は千葉県。
水産高校の図書室で見た捕鯨船の砲手に憧れ、捕鯨の道へ。平成16年から20年間、捕鯨船・勇新丸の砲手を務め、今期の漁を最後に砲手を引退。

■船員おすすめの食べ方
日々、鯨と向き合う船員の皆さんなら、おいしい鯨の食べ方を知っているはず!
好きな食べ方や、とっておきの食べ方、皆さんのおすすめを聞いてみました。

□おすすめの食べ方を教えてください
槇:やっぱり刺身でしょう
北嶋:刺身
篠田:刺身

□刺身で食べるときは何をつけますか?
北嶋:しょうゆと七味が好き
古賀:しょうゆのみ
槇:しょうゆとゆずこしょう
篠田:しょうゆとゆずこしょうです
平井:しょうがやゆずこしょうですね 玉ねぎスライスもよく合います
古賀:捕れたての生肉は食感がモチモチしておいしいです

□うらやましいです…家庭で再現するには?
北嶋:冷凍肉を丁寧に解凍するキッチンペーパーで包んで保存袋に入れてね
古賀:冷凍肉を発泡スチロールに入れて冷蔵庫に入れるといいです
北嶋:なるべく0度に近い温度でね2日くらいかけてゆっくりと
平井:表面が少し解けたときに薄く塩をまぶして、またキッチンペーパーで包むそうするとドリップが出にくくて生肉みたいにきれいに解けます

□時間をかけて解凍するんですね
北嶋:冷凍のまま炙ってもいいですよ凍っているうちに焼いちゃう周りを焦がすからドリップも出ないし、解凍も速い
槇:あばら肉など脂の乗った部位を塩漬けしてもおいしいですよ2~3日置いて、薄く切って
北嶋:上手にできたら生ハムみたいになりますよ脂に塩が入ると甘みが出ます
槇:ネト~っとした味わいにね酢じょうゆを付けてあつあつのごはんに巻いて食べる

□うわぁ…おいしそう…他にもあまり知られていない食べ方はありますか?
篠田:畝須や本皮を薄く切ってお寿司にしてもおいしいです
平井:畝須で作る煮込みもおすすめです厚めにザクザク切った畝須を2回下茹でして、脂と臭いを抜くだいこん、にんじん、こんにゃくと2~3日みそで煮込むしょうがを効かせてね

□どれもおいしそうです…
この度はお忙しい中ご協力くださりありがとうございました!

□鯨が食べられるお店は?
・感鯨下関
【URL】https://www.shimonoseki-kujira.jp/

問合先:くじら産業推進室
【電話】250-9250