くらし 長門の人59

■自然と人、地域の未来をつなぐ架け橋
久保田(くぼた)啓子(けいこ)さん

長門市を拠点に、家庭教育・環境保全・地域づくりなどに取り組まれている久保田さん。
今年6月には、やまぐち自然共生ネットワークの顧問としての活動をはじめ、長年にわたる地域環境保全への貢献が評価され、令和7年度「地域環境保全功労者」として環境大臣表彰を受賞されました。

◇環境保全活動を始めたきっかけは?
PTAの副会長をしていた時、「通学路の安心安全点検」に関わったことが原点です。行政とともに道を点検する中で、道や地域の資源に関心が芽生え、平成21年に仲間たちと「あなたとNAGATOを結び隊」を立ち上げました。長門を歩いてみると、景色・食・人・施設など多くの「お宝」があります。それを市内外に発信することを目的に活動を始めました。その後、環境に関する審議会などに関わるようになり、専門家の話を聞く中で知識が深まり、環境活動が広がっていきました。

◇活動する中で心がけていることは?
活動のチャンスがあれば、それを逃さないようにしています。活動から得る新しい発見や人とのつながりは、お金では得られない私の大切な財産となっています。人と人とのつながりを、一番大切にしています。

◇活動で印象に残っていることは?
椹野川河口域・干潟自然再生協議会委員として参加している椹野川の活動です。多い年には200人以上が参加して、川の流域で採れた山菜や鮎の試食後に、河口の干潟でアサリの再生活動などを行っています。再生したアサリの経過観察や、毎年集まる歴代の担当者たちとの再会は楽しみのひとつで、地域とのつながりや継続の大切さを実感できる貴重な機会でもあります。

◇地域の皆さんの反応や変わってきたことは?
毎年、「あなたとNAGATOを結び隊」の活動の一環として、旧街道のウォーキングと街道整備を組み合わせたイベントを実施しています。活動を重ねるごとに、地域の方々も楽しみに参加してくださるようになりました。ウォーキングの後には、温泉に入ったり地元の食を楽しんだりして帰られる方も多く、イベントを通じて自然の大切さや地域の歴史・魅力が少しずつ皆さんに伝わっていると感じています。

◇今後の展望は?
今の活動を無理せず続けながら、次の世代へとつないでいきたいと考えています。これまで築いてきたご縁を大切にし、人と人とをつなぐ「ハブ」のような存在でありたいと思っています。また、自分の経験から、やりたいことがあれば、まずは一歩踏み出すことの大切さ、そしてその一歩から新たな景色が見え、次につながる道が生まれることを、これからの世代に伝えていきたいです。