文化 [特集]ようこそ 世界の国々から丸亀へ -異文化交流から広がる市の新たな魅力-(2)

■REAL VOICE ~地域に根ざす声と支える力~
◆地域で生きる外国ルーツの子どもたちが自分の可能性に気づくきっかけをつくる
香川まるがめ 子どもにほんごひろば
丸亀ふくしま♡ みんな de わが家
会長 安藤 州一さん
〈プロフィール〉
県職員時代から外国人支援に携わり、退職後は市内にボランティアの支援拠点を開設・運営。日本で暮らす外国ルーツの子ども・若者たちに目を向け、地域・日本社会とのつながりを深めるための幅広い支援を展開している。

安藤さんは、平成27年から「香川まるがめ子どもにほんごひろば」を立ち上げ、外国にルーツを持つ子どもたち向けの学習支援を行っています。また、令和2年には、支援の幅をさらに広げるため、「丸亀ふくしま♡みんなdeわが家」を開設。親子のコミュニケーションを促進する大人向け日本語指導や若者向けの英語・数学指導、NPO団体と連携した週2回の子ども食堂など、2つの拠点を軸として活動しています。
活動の原点は、「外国にルーツを持つ子どもたちに人生の選択肢を広げてもらいたい」という思い。「彼らは自分たちが秘める可能性に気づいていないことが多いんです。日本社会の中で日本人と同じように主体的な人生を描いていくために、彼らと地域をより深く結びつける場所があることを知ってほしい」と安藤さんは話します。地域の学校や企業、日本人の若者たちと手を取り合って切れ目のない支援体制をつくろうとしています。
「難しく考えすぎず、まずは笑顔で目を合わせて、気軽にあいさつを交わすこと。それが互いの意識を変えていく第一歩になるでしょう」。安藤さんが思い描くのは、若者たちがルーツを問わず同じコミュニティの一員として一緒に成長していく「共生」社会です。

◆毎日の仕事すべてが楽しい!農業分野の学びをもっと深めたい
ベトナム・ハナム省出身
グエン・ティ・トゥイ(Nguyen Thi Thuy)さん
日本でも愛用している笠は、ベトナムの伝統的な農村文化を象徴するアイテム。ふるさとの家族も農業を営んでおり、ビデオ通話でつながるひとときが日々の楽しみ。

市内でもいち早く外国人材を登用した飯山町の谷本農園。現在はベトナムやインドネシアからの特定技能者や技能実習生5 人が、野菜の栽培に従事しています。
「農園で学べることは何もかも楽しい」と話すトゥイさんは、来日6年目。特定技能1号の在留資格も取得し、さらに学びを深めようとしているところです。園の経営者・谷本公紀さんは「採用候補者の中で一番熱意を感じた」と出会いを振り返り、「仕事の理解が早く、周囲をよく見てすばらしい気配りができる。今やスタッフの中心となる頼もしい存在です」と、5年間の成長ぶりを高く評価。トゥイさん自身も「安定した環境で働ける安心感が大きな支え。ふるさとで待つ家族のためにも、元気に頑張りたい」と意気込みます。
丸亀で印象に残っているのは「園のみんなでお花見に行った丸亀城と、骨付鳥!」と笑顔。休日は友人と高松に出かけることもあり、充実した毎日を送っています。