- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県大洲市
- 広報紙名 : 広報おおず 2025年8月号
■「大洲のうかい」を広める活動
小学生高学年を対象に「小学生うかい体験教室」を実施しています。鵜飼や肱川の自然環境保全などについて学習します。
この日は肱川小学校と河辺小学校の児童27人がうかいレストプラザ(柚木)を訪れ、鵜の飼育小屋で井上鵜匠から「大洲のうかい」の特徴や鵜の習性などの説明を受けました。
鵜匠は毎日、鵜の健康状態を確認しています。鵜は羽の表面から油分を分泌しており、健康な状態であれば水をしっかり弾きます。これにより羽が水に濡れにくく、体温が保たれて泳ぎやすくなるのです。ところが、体調が悪くなると油分の分泌が減り、水を弾かなくなるため、羽が濡れて体温が下がり、それによってさらに体調を崩してしまいます。
特別に鵜への餌やり体験もさせてもらいました。餌が出てくると、鵜たちは一斉に近づいてきます。子供たちは少し怖がりながら、小アジを差し出します。
最後は屋形船に乗船します。同乗した案内人の解説に耳を傾けながら、持参したお弁当を味わい、肱川の風景をゆったりと楽しみました。
■伝統を守り続ける、「大洲のうかい」の支え手たち
〇鵜とともに歩んだ15年―大洲の伝統「合わせうかい」を未来へ
平成23年に鵜匠としてデビューし、今年で15年目になります。それまでは市内の会社に勤めていましたが、当時の鵜匠頭に勧められ、鵜匠の練習を始めたのがきっかけです。
鵜は気を抜くと噛みつくこともあります。鵜を自在に操ることも大事ですが、そのためにはまず信頼関係を築くことが不可欠です。
手縄(たなわ)の操作に加え、鵜舟の船頭や屋形船の船頭との連携も重要で、それらが合わさって始めて大洲の特徴である「合わせうかい」が成立し、お客様に楽しんでいただけるものになります。今後も多くの方に大洲のうかいの魅力を伝えていきます。そして、地元のみなさんにも、改めてうかいに親しんでもらえるよう取り組んでいきたいです。
(鵜匠 井上利和(としかず)さん)
〇「楽しかった」の声が原動力―女性船頭3年目の挑戦
観光協会の職員に声をかけてもらったのをきっかけに船頭を始め、今年で3年目になりました。うかい期間中は週2回ほど船頭を務めています。最近は外国人観光客も増えてきました。英語は話せないので翻訳アプリを使って対応しています。うかいが無事に終わり、お客様から「楽しかった」と声をかけられると、安堵とともにやりがいを感じます。
船頭をしていて特に難しいと感じるのは、鵜舟と並漕する時の距離感やスピードの調整です。竿と櫓を扱うのにも技術が必要で、船の出発や停止する際の操作は特に力がいるので大変です。現在は小型船を担当していますが、今後は大型船も操れるよう努力していきたいです。
(船頭 徳田さゆりさん)
〇目指すは鵜匠―大洲で見つけた新しい道
松山で働いていましたが、大洲に戻りたいと思い、次は職人のような仕事に挑戦したいと考えていました。そんなとき観光協会(うかい関連業務)の求人を見つけ、これだと思い応募しました。
令和6年4月から勤務していて、現在は鵜小屋の掃除や餌やり、屋形船の船頭の練習などを行っています。まずは鵜に慣れて覚えてもらうことが大切だと感じていて、毎日鵜小屋に通い鵜との関係づくりに励んでいます。
当面の目標は、屋形船の船頭としてデビューすることです。そしていつか、井上鵜匠のように鵜と息を合わせお客様を楽しませられるような鵜匠を目指して頑張っていきます。
(鵜匠見習い 高月浩志(ひろし)さん)