子育て 世界にふれ、未来をひらく ~大洲市中学生等海外派遣事業~(4)

●ホストファミリーが教えてくれた通じ合えた喜び
大洲高校 鈴木ゆきさん
一番心に残ったのは、ホストファミリーや現地の学生との交流です。行く前は英語が聞き取れるか不安でしたが、オーストラリアの人はみんな優しくて、ゆっくり話したり簡単な単語に言い換えてくれました。
ホストファミリーは、毎晩夕食時に単語ゲームをしてくれ、表現方法や新しい単語を学べただけでなく、家族の一面も知ることができました。学校からはホストシスターのハイディーと電車と徒歩で帰宅し、たくさん会話を楽しみました。特に「ジェットコースター」を「ロールコースター」、「テーマパーク」を「シームパーク」と発音していたことには驚きました。ハイディーがジェスチャーを交えて教えてくれ、通じ合えた時は本当にうれしかったです。
オーストラリアでの経験はとても新鮮で、通じ合えた時の高揚感は今でも忘れられません。次に行く時は、もっと英語が話せるようになってから行きたいです。またホストファミリーに会いたいです。

●積極性が導いた学びと自信そして未来への挑戦
大洲高校 園 天一郎(てんいちろう)さん
中学3年生のときにこの海外派遣事業に参加しましたが、当時はコロナ禍で東京研修のみでした。そのときから「いつか本当に海外へ」と思うようになりました。
現地ではリーダーとして積極的に行動しました。英語に不安があり悔しい場面もありましたが、挑戦し続けることで伝わる喜びを感じ、大きな自信となりました。特に現地の生徒との交流が印象的で、日本語を教えたことをきっかけに仲良くなり、今も連絡を取り合うほど深いつながりを築くことができました。生活の中でも、多くの家はとても大きくて広いことや、野菜はほとんど生で食べること、夕方にお店が閉まることなど、日本との違いを発見でき、異文化を直接体験できたことはとても興味深かったです。
この派遣で学んだことは積極性の大切さです。自ら動いたからこそ多くの学びと出合いが得られました。将来は大学で留学に挑戦し、英語力をさらに高め、世界の人々とつながれる人を目指したいです。

▼引率 大洲東中学校 石川雅之(まさゆき)校長
私は団長として派遣生に同行し、真夏の大洲から一転、真冬のシドニーへ向かいました。研修の前半はみんな元気で、英語の学習や現地生徒との交流ができましたが、後半には体調を崩す者が出て、全員で全てのプログラムに参加できなかったのは残念でした。しかし、現地の先生方や生徒たちが温かく迎えてくださったおかげで、派遣生にとって充実した研修となり、貴重な経験を積むことができました。
私にとっても多くのことを学ぶ良い機会でした。きちんとした英会話は難しいと痛感しましたが、身振り手振りや表情で何とかなるものだと実感しました。英語は気持ちを伝える一つの手段であり、伝えよう、分かろうとする気持ちが大切です。派遣生も同じ思いをしたのではないでしょうか。
彼らは、今回の経験を通して学びや気付きを、これからの学校生活や進路選択に生かしてくれると信じています。その機会をいただいた桝山教育振興会、大洲市、大洲市教育委員会のみなさまに、心から感謝申し上げます。また、保護者のみなさまにおかれましても、本事業へのご理解とご協力、誠にありがとうございました。

▼引率 大洲南中学校 高木健司(けんじ)教諭
キンドルヒルスクールはブルーマウンテンズ地区にあり、観光名所スリーシスターズまで車で10分の静かで自然豊かな場所にあります。シュタイナー教育(個性を重視した教育)を理念とし、児童・生徒の自主性を尊重されていて、随所にその成果を見ることができました。授業開始後、同校の生徒がいない家庭でホームステイをする派遣生から「バディ(学校でお世話をしてくれる現地の生徒)制度を導入してほしい」と申し出がありました。しかし、校長のエリカ先生は「導入は可能だが、本校では生徒の自主性を大切にしており、自主的な判断と行動を期待したい」と話されました。その言葉どおり、現地の生徒たちは派遣生に寄り添い、積極的に関わってくれました。派遣生にとって、とても過ごしやすい環境だったと思います。
英語科担当のクリス先生は72歳のベテラン教師で、明るく表現力豊かに授業を進められ、生徒の興味や関心を引き付けるのがとても上手でした。英語を教える立場として学ぶべき点が多く、私にとりましても大変有意義な研修となりました。