子育て [特集]地域まるごと学び舎に(2)

■部活動の地域展開がもたらす新たな可能性
国が進める「部活動地域展開」。これまで教職員が担ってきた部活動の指導を、地域のスポーツクラブや文化団体、地域住民が立ち上げたクラブなどに委ねていく取組だ。
これにより、中学生世代がスポーツ、文化、芸術活動に親しむことができる機会を将来にわたって持続的に確保することや、教職員の業務負担を軽減し、本来の業務である授業や学級運営に集中できる環境の整備を目指している。
そんな中、市内出身で、現在川内中学校女子バレーボール部の顧問を務める渡部真平(しんぺい)先生(写真左下)は、自らを指導者とする地域クラブを5月に立ち上げた。まだ加入者は数人にとどまっているものの、「部活動が今後どうなっていくのかまだ誰も具体的に示せていない状態なので、仕方がないと思います。今後さまざまなきっかけで加入者が増えることはあると思いますし、まだまだこれからです」と、未来を見据えている。また、地域展開を進めるに当たっては「教職員も生徒も、放課後や休日の時間の使い方を主体的に選択していくことが大切だと思います」と強調した。
地域クラブに加入した生徒からは、「小学生の頃からバレーをしていて、部活動だけでなくもっとたくさん練習したいと思ってクラブに入りました。クラブでは、基礎からしっかりと指導してもらえています」と、専門的な指導を受けられることを喜ぶ声が聞かれる。
部活動の地域展開は、指導者や活動費の確保など、多くの課題を抱えている。しかし、専門的な指導を受けられる機会の増加や、地域とのつながりの深化など、子どもたちにとってのメリットは大きい。これもまた、「地域の子どもは、学校を含めた地域で育てる」という視点に基づく、教育の新たな挑戦である。

■「子どもと関わりたい」教育の担い手は地域にも
コミュニティ・スクール制度を支える重要な柱の一つが、「学校・家庭・地域連携推進事業」だ。この事業は、学校と地域がパートナーとして子どもたちを育てていくための取組で、学校と地域が連携して協働活動や体験活動を行う「地域学校協働活動」や、学校と地域をつなぐ「地域コーディネーター」の配置、放課後や休日における子どもたちの居場所づくりとして「放課後わくわく教室」、「わんぱく広場」、「ジュニア体験塾」、子どもたちの学習習慣の定着を支援する「地域未来塾」を行っている。そして、このような事業を支援するのが、「協働活動サポーター」と呼ばれる地域住民だ。
取組を推進する「学校・家庭・地域連携運営委員会」で副委員長を務めているのが、和田裕介(ゆうすけ)さん(写真左上)。和田さんは、川内中学校PTA会長や川上小学校と川内中学校の学校運営協議会委員、そして協働活動サポーターとしても熱心に活動しており、その原動力は、幼少期の経験にあると言う。
「幼い頃、近所の人が子ども会でさまざまなことをしてくれたのが良い経験になっていて、次は自分が地元の子どもたちに何かしてあげたい思いがあります」。
さまざまな角度から子どもたちに関わる和田さん。川上小学校の授業では、アフロをかぶって「川上博士」の名札をつけ、老人会の人と一緒に川上地区の歴史を紹介したこともあり、すっかり子どもたちの人気者だ。
和田さんは、協働活動サポーターの重要性を強く感じている。
「実は地域には『学校と連携して子どもたちと関わっていきたい』と言ってくれる人が大勢います。地域の人が入ってきてくれると、学校だけでは知り得ないことを知ることができ、教育に幅が生まれるし、先生たちの助けにもなります。ただ、協働活動サポーターの活用状況は、学校によって少し差があるのも現状です。学校間で先行事例を共有するなど、市全体で取組を推進できる仕組みが必要ですね」。
地域の子どものために何かしたいという思いを持つ人と、地域の手を借りたい教育現場とのマッチングには、更なる工夫が必要かもしれない。
和田さんは自身の経験も踏まえ、「普段、小さなコミュニティで生活している子どもたちにとっては、地域の大人と出会うこと自体が良い経験。その中で『地域にこんな人がいるんだ』と知ることから郷土愛も生まれると信じています」と強調する。
子どもたちを育てるのは、家族だけでもなく、先生だけでもない。地域に暮らす全ての人が、地域という大きな枠組みの中で子どもたちを育てていく。これが、市が目指す「協育」、「共育」の姿ではないだろうか。

コミュニティ・スクール制度の導入、地域住民の参画、そして部活動の地域展開——。子どもたちの豊かな学びの場を守り、地域への愛を育むために、地域に住む私たちと学校とのパートナーシップを大事にしたい。
学校は、絶えず進化していく。学び舎を地域へ広げながら。

●和田裕介さん(47歳・南方西)
profile:学校・家庭・地域連携運営委員会の副委員長。高齢者福祉の仕事をしながら、学校運営に携わる。4児の父。好きな食べ物は妻の作った生姜焼き。

■子どもたちの学びを支える 協働活動サポーター
学校での活動を始め、放課後や休日の活動を支援する。学生から高齢者まで約150人が登録し、特技を活かして活動している。
活動内容:登下校の見守り、本の読み聞かせ、図書の整理、音楽・手芸活動、花壇の整備、簡単な学校設備の修繕、放課後わくわく教室・わんぱく広場・ジュニア体験塾の支援等
登録方法:「協働活動サポーター登録書」を記入し、学校又は生涯学習課に提出
※詳しくは市HPへ

問合せ:生涯学習課
【電話】964-1500