くらし しまなみ農業だより

■柑橘「弓削瓢柑(ゆげひょうかん)」という品種について
1月末に町内の方から弓削瓢柑(ゆげひょうかん)という柑橘について弓削を冠するなら弓削島の特産にしてはどうかとご提案をいただきました。15年ほど前に上島町内で苗木の増殖などを行い産地化に取り組みましたが(2008年広報かみじま8月号掲載)、特産品までの生産には至りませんでした。改めて弓削瓢柑はどんな柑橘なのか解説します。

1 弓削瓢柑とはどんな柑橘
果実は黄色で長卵形の300g内外の果実になり、お尻が平らなレモンのような果形であることから瓢柑(ひょうかん)と呼ばれたのだと思います(写真1参照)。
皮が厚く文旦系の柑橘で、成熟すると芳香があり果肉は黄白色で果汁が多く、少し苦みがあるが甘くさわやかな非常に美味しい柑橘です。袋は剥いで食べますが、気にならなければ袋ごと食べることもできます。厚い外皮は柔らかく刃物で縦に切り目を入れれば簡単に剥ぐことができます。1月頃に黄色く色付きますが、まだ本来の食味ではなく気温が高くなる4~6月頃まで木成りで置くと、さらに甘くなります。外観が悪くなりますが内容は美味しくなり、柑橘類の出回るものが少なくなる初夏に冷やして食べれば、なお重宝されます。貯蔵性については、検討されておらず木成りで置く方がおいしくなる品種と考えています。

2 生育特性と栽培上の課題
生育は樹勢がやや強く、枝は立ち気味に生育しますが、成木になると枝は開いてきます。苗木で植え付けるよりも接ぎ木のほうが結実期間が短縮できます。樹の大きさは3m以内の樹高に収まり、八朔のように大樹にはなりにくそうです。着花は安定しており総状(塊り)に付きやすく極端な着果過多でなければ隔年結果(多少の波)は少ない豊産性で栽培しやすい品種です(写真2)。
着果が多い時には摘果が必要と考えます。課題は、食味が良くなる時期が遅いため、外皮の障害や退色(色褪せ)が出やすく外観は悪くなりますが、外観重視で早く収穫すると本来の食味がともなわないことからこの点は承知して栽培しなければなりません。また、果皮が黄色いことから、黒点病やさび病が目立ちやすく最低限の農薬散布(梅雨明け頃まで)は必要と考えます。5月中旬には花が咲き始めるので、開花までに収穫を終えるか、残す場合には、袋掛けや残効期間の短い農薬の使用を考えなければなりません。露地での越冬栽培は容易な品種ですが、冬季の厳しい寒波の影響による凍結被害も考慮に入れ、冷気のたまりにくい暖かい園地に植え付けることが重要です。さらに成熟期の鳥獣被害(イノシシ、カラスなど)の対策が必要となります。

3 栽培の狙い
越冬完熟栽培が条件となるので、外観が多少損なわれ外観重視の市場流通では売りにくい品種ですが、直売所や相対での試食販売で知名度を上げていく方法が弓削瓢柑の評価を上げる売り方になると思います。愛南町の特産で同時期に出回る河内晩柑が初夏に木成りで売られている商品は決して外観はきれいなものではありませんが、果汁が豊富で初夏に競合する品種がないためよく売れています。落果が課題の河内晩柑よりも作りやすく食味も良い弓削瓢柑なら勝負をしても勝てると思います。サイクリストや観光で島外から訪れる観光客も増えています。せっかく、品種名に弓削という名前がついている弓削瓢柑を島の特産として売り込むチャンスです。
最近は情報技術(SNSなど)の発達により世界中に弓削島特産の弓削瓢柑は美味しいよという情報が駆け巡ることを期待します。
お問い合わせや見学は、しまなみ農業指導班岩城駐在(【電話】75-2014)までお願いします。

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