- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県内子町
- 広報紙名 : 広報uchiko 2025年3月号
■ふるさとの風景を守り続けたい―太鼓橋がつなぐ住民自治の伝統
石畳地区・弓削神社氏子の皆さん
石畳地区・弓削神社の太鼓橋の屋根葺(ふ)き替えが、12月9〜11日の3日間で行われました。参道の役割もある橋の屋根は杉皮葺きで、約10年毎に葺き替えています。作業には氏子を中心に地域住民ら約25人が参加し、橋の周辺に足場を組んで古い杉皮を剥がして、傷んだ箇所を修復。一枚一枚切りそろえた新しい杉皮を重ね、虫よけのため黒く焼いた孟宗(もうそう)竹を棟として据えます。神社総代の瀨戸眞豊(まとよ)さんは「若い人から年配者まで、みんなの協力で立派に仕上がった」と喜びます。
長年、神社を見守る岡本實男(じつお)さん(77)は「父や祖父も作業をしてきた。橋が残るのは、先代の人が大切に守ってくれたおかげ。自分たちも守らないといけないという意識がみんなにある」と語ります。弓削神社には住民が日替わりで参拝する「日参まいり」の風習が残っています。「当番の旗が回ってきたらお参りをして、さっと落ち葉を片付け、旗を次の人に渡す。みんなができることで神社を守っている」と、岡本さんは優しくほほ笑みます。
作業をした中には、初参加の若者の姿も。岡本さんは「経験はきっと心に残る。大切な風景を守る思いをつなぎ、みんなで楽しくやれたらいい。私もまた10年後、できることを手伝います」と笑顔でした。