- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県鬼北町
- 広報紙名 : 広報きほく 令和7年8月号
◆入田 伸介 議員
◇町の財政状況について
《問》5年度末の実質町負担額はいくらか。
《答》令和5年度末時点の一般会計公債費残高は、約120億8千万円であり、これに対し普通交付税で措置される額は約90億9千万円と試算しており、交付税措置額を差し引いた実質負担額は、約29億9千万円と試算している。
《問》これからも多くのハード事業を展開する予定のようだが、ランニングコストも含め、財源は何か。
《答》一般的に、まずは国又は県の補助金がないか調査を行い、該当する補助金がある場合はその補助を活用し、補助の残りについては地方債を借り、補助がない場合は全額地方債を借りるという場合もある。なお、地方債の元利償還金に対しては、目的ごとに措置率は違うが、普通交付税で措置されるものがほとんどになっている。また、ランニングコストにかかる財源は、一般財源と呼ばれる税収や交付税などで賄うことになるが、事業によってはその目的のために積み立てた基金を取り崩して充当していくことにしている。
《問》令和14年度には実質公債費比率が15 ・6%に達する見込みだが、これから実施する予定の事業は含まれているのか。また、実質公債費比率が18%を超えると地方債許可団体に移行するが、その数値に肉薄しているのではないか。
《答》町では中期行財政計画を策定し、これから先10年間の財政状況の将来推計をしている。平成19年度決算において、実質公債費比率が19・5%と18 %を超えたことがあり、公債費負担適正化計画を策定した上で、各種の取組を行うことで、平成22年度決算では、16・6%と18%を下回った。その後、令和2年度決算の5・8%まで低減を続けたが、近年整備した保育施設や広見中学校、高校寮等の償還金が本格化し、上昇傾向に転じ、令和15年には15・6%に達すると見込んでいる。
今後、中期行財政計画上予定されてない大規模な事業を行うとさらなる率の上昇も考えられるが、毎年、計画を見直し、財政的なシミュレーションを行い、事業のローリング、平準化等を行いながら、必要な事業は行い、住民サービスの低下につながらないような財政運営を行っていく。
《問》公債費負担比率が警戒ラインの15%を超え16・2%となっているが、この点についてどう思うか。
《答》公債費負担比率は、比率が高いほど財政構造の硬直性が高いと言われている。令和5年度決算における公債費負担比率は、16・2%であるが、各種施策を実施するにあたり、一般財源のみではなく、目的に応じて積み立てている各種基金を活用しているため、地方債の返済額が多くて施策が実施できないという状況には陥っていない。
《問》バランスシートによると純資産に対し「負債」の割合が年々増加しているがこれについてどう考えるか。
《答》負債が増加している要因は、地方債が主なものであり、令和4年度に約21億円、令和5年度に約16・7億円増加している。令和4年度には、きほくの里保育園、広見中学校、令和5年度には、認定こども園さくら、日吉夢産地、ジビエ施設、成川休養センターなどの整備に係る地方債を借り入れたため増加したものである。これらの地方債は、主に過疎債、合併特例債などを借りており、借入額の約7割は普通交付税において措置されることになっている。
また、地方債は、財政負担を平準化するという側面がある。公共施設は将来にわたって利用されるものであり、世代間の負担の公平性等を勘案しながら、住民サービスを展開していきたい。
◇消防団報酬について
《問》分団もしくは部の運営において幹部から何らかの声はあがっていないか。
《答》本年5月に開催した鬼北町消防委員会において、委員から「分団及び部の交付金について増額する必要があるのではないか」との意見があり、同日に開催した鬼北町消防団総会においては、分団から「分団及び部の運営に必要な交付金について残額が減少してきている」との意見が出された。
分団及び部の交付金は、平成22年度に増額改正し、現在の額となっている。消防団員の報酬は、令和3年度までは団員個人の報酬は各分団を通じて支給していたが、総務省消防庁の非常勤消防団員の報酬等の基準の通知があったことから、令和4年度からは全額を個人支給している。
《問》機能別消防団は部管轄となっている。このことも含めて分団並びに部への交付金も増額へと見直す必要があるのではないか。
《答》分団及び部の運営は、消防団の活動内容により活動期間も長時間になる場合があり、機能別団員制度の導入により運営に必要な公務上の経費も増えることから、近隣市町の状況も踏まえながら、消防委員会及び消防団において交付金の額の協議を行っていきたい。
◇修学旅行の保護者負担について
《問》修学旅行の保護者負担に何らかの処置は講じられないか。
《答》今年度の旅行計画は決定済で、見直しは現実的に難しい状況である。来年度以降は、全学校に対して旅行計画の段階から保護者負担額の抑制に十分配慮するよう、指導・助言を行っていく。
また、保護者の負担軽減に資する方策として、例えば複数校による合同での修学旅行実施による規模のメリットの活用や、少人数のメリットを活かして、貸切りバスに代わって飛行機や鉄道など公共交通機関を活用するなど、多様な選択肢を検討していくことも重要であると考える。費用の軽減だけでなく、より多様で豊かな学習体験の提供にもつながる可能性があり、各学校に対し、実態に応じた検討をするよう要請する。