- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県田川市
- 広報紙名 : 広報たがわ 令和7年7月1日号
■令和4年度 田川市人権問題に関する市民意識調査 約半世紀を経て、市民の意識はどう変化したか
さまざまな取り組みにより改善が図られ、実態的差別の解消が進んできました。しかし、現在も心理的差別は解消されたとは言えません。その成果と課題は、市民意識調査の結果でも明らかになりました。
[Q]部落差別問題の解決方法は?
[A]学校での積極的な人権教育が必要
そう思う…約54%
[A]行政による教育・啓発が必要
そう思う…約49%
[A]私が解決に向けた努力をすることが必要
そう思う…約45%
[A]そっとしておく「寝た子を起こすな」
そう思う…約27%
これまで行政と国民が両輪として共に努力してきた結果、回答者の約半数が問題解決に向けた取り組みに積極的な考えを持つようになってきたことが見て取れます。一方、課題として「わざわざとりあげずに、そっとしておく方がよい(寝た子を起こすな論)」と考える人が、約4分の1存在していることがあげられます。
[Q]結婚相手が「被差別部落(同和地区)の人」かどうか調べることをどう思う?
[A]調べるべきではない
そう思う…約80%
[A]「調べるのは当然だ」「感じはよくないが…必要」
そう思う…約15%
被差別部落の人であるかどうかを「調べるべきではない」と回答した人は約80%で、わたしたちの意識は人権教育・啓発の取り組みによって良い方向へ変化してきていると言えます。
しかし、この問いのうち約15%が「調べる」ことを肯定しているという現状が課題としてあります。
大切なことは、人権・部落差別問題を『今・ここ・自分事』として考えること
■同対審答申から60年目の「学びのススメ」
◇インダビュー
(公財)福岡県人権啓発情報センター 館長 谷口 研二(たにぐち けんじ)さん
同和対策審議会答申(1965年)は、部落問題の解決は国・自治体の責務であり国民的課題だ、と述べています。私は、この「両輪を機能させること」が民主主義のやり方だと教えられ、納得し、自分の在り方や社会の在り方について考えるようになったことを思い出します。
今年はこの答申から60年。これまでの学びを振り返り、学んできたことを分かち合う機会にしたいと思います。
ある研修会の参加者が「私は『差別されるのが嫌なら引越せばいいのではないか』と考えていた。しかし、当事者が『私は〝部落(ふるさと)〞をなくしたいのではありません。〝差別〞をなくしたいのです』と言うのを聞いてハッとした」と言いました。
「部落差別は、教えなければ自然になくなる」という考え方について話し合ったときには「この考えだと、現に発生している差別に気づく力や、人権問題の解決をめざす人の声を聴こうとする態度が弱まっていく」という意見の後、次のように言った人がいました。
「それが差別だと知らないと、人を傷つけても気にならない、気にならないから反省しないで繰り返すことになる」、「差別を自分とは関係ないこと(他人事)だと考えることに慣れてしまい、自分が差別されたときに、どうしていいかわからなくなる。人権侵害に気づく力やはねかえす力が衰弱することが怖い」。
知らなかったことに気づくこと、知らなくても気にせずにいられた自分について考えること、知ってるつもりでいた自分や、そこで学びを止めていた自分に気づくこと…大切にしたい「学びのススメ」です。
■[同和問題啓発強調月間講演会のお知らせ]誇りをもって生きる
同和問題啓発強調月間講演会では、鹿児島県にある「宮丸太鼓店」の宮内礼治(みやうちれいじ)店主が、和太鼓づくりを実演。受け継がれてきた伝統の技を披露しつつ、生い立ちや経験をもとに「命」「誇り」「自らの差別性の見つめ直しの大切さ」を伝えます。
日時:7月5日(土) 14時~16時
場所:田川青少年文化ホール
◎太鼓づくりの実演あり