くらし 差別をなくすために 第480号

■ハンセン病を正しく理解しましょう

◇ハンセン病は、どんな病気ですか?
ハンセン病は、結核菌と同じ仲間の細菌「らい菌」によって引き起こされる感染症の一種です。感染し発病すると、主に手足の末梢神経が麻まひ痺し、汗が出なくなったり、熱や痛みを感じにくくなります。また治療法がない時代は、体の一部が変形するといった後遺症が残ることがありました。
昭和18(1943)年に、アメリカで「プロミン」という薬の有効性が判明し、日本でもプロミンによるハンセン病の治療が始まりました。現在は3種類の飲み薬を併用する治療法が主流となり、らい菌は短期間で感染力を失います。ハンセン病は早期に発見し、適切な治療を行えば、顔や手足に後遺症を残すことなく治る病気です。
また、らい菌の毒性と感染力は非常に弱く、たとえ感染しても発病することはほとんどなく、現在の日本の衛生状態や医療状況、生活環境を考えると、らい菌に感染しても、ハンセン病になることはほとんどありません。

◇どうして差別や偏見を受けたのですか?
かつては治らない病気とされていたこと、また病気が進行すると手足や顔といった人目に付きやすい部分に変形が生じるといった後遺症が残ることから恐れられていました。
さらに国が定めた「らい予防法」に基づく隔離政策により、警察や保健所などが患者を強制的に療養所へ収容する様子が、ハンセン病は怖い病気だという「誤った知識」を社会に根づかせ、ハンセン病に対する偏見や差別が大きくなった原因のひとつとなりました。この隔離政策はハンセン病が薬で治る病気となった後も平成8(1996)年まで続けられました。
「らい予防法」が廃止された今もなお、ハンセン病に対する誤解や偏見が社会には残っています。そのため、私たち一人一人がハンセン病に関する正しい知識と理解を持つことが、これまで長く続いてきた偏見や差別をなくす第一歩です。そして、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、ハンセン病への誤解や誤った隔離政策に端を発するハンセン病問題に、関心を持ち続けて、偏見や差別をなくしていきましょう。

芦屋町人権・同和教育研究協議会

問合せ:社会教育係
【電話】223-3546