- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県大刀洗町
- 広報紙名 : 広報たちあらい 令和7年9月号
■福満 由成(ふくみつ よしなり)さん(西大刀洗)
今回は、地域密着型の会社として「フクミツ建総」を開業し、従業員から慕われ、尊敬されている福満さんにインタビューをしました。
□「長く続けられる仕事」の答えを探して
鳥栖市で生まれ育ち、中学時代には野球部に所属。イチロー選手を指導したことで知られる名コーチが部活動の指導に入ると言う話に胸を躍らせていましたが、入学前にそのコーチが他界してしまいました。気持ちが整理できないまま高校に入学するも、身が入らず、中途退学を決めました。その後は、ビニールハウスの設営や足場の組み立てといった現場仕事に携わりました。
20歳のとき、「長く続けられる仕事とは何だろう」と将来を考えていた頃に出会ったのが、大刀洗町にある塗装業の事業所でした。
汚れていた家が自分の手で美しくなるその瞬間にやりがいと手応えを感じ、「この道で生きていこう」と決意しました。
塗装の仕事は、建物の美観を保つだけでなく、劣化を防ぐという重要な役割もあります。定期的に必要とされる職業であり、長く安定して続けられる点にも大きな魅力を感じました。
そして3年後、独立も視野に入れていた時に、同業の社長さんから温かい後押しを受け、思い切って独立の道を決断しました。
□挑戦の先にあった厳しさと成長
初めは「福満塗装」として塗装のみに携わっていましたが、「塗装だけでなく、住宅全体のリフォームにも携わりたい」という思いから、2024年に法人化を決意。「株式会社フクミツ建総」に社名を変更し、小郡市と大刀洗町に事業所を設立しました。また、その際に、自分の名字とミツバチ、数字の8を掛け合わせ、福が満ち、縁起の良いことが訪れるようにと願いを込めて会社のロゴマークを作成しました。
しかし、経営は想像していた以上に厳しいものでした。金銭的・精神的な負担が重なり、自身の働き方と経営体制を見直すことに。家族や従業員、周りの方の支えがあって、2025年に法人会社をたたみ、個人事業として大刀洗町で事業を再開することに決めました。
現在は、法人として活動していた当時よりも仕事が安定しており、従業員と共に前向きに仕事に取り組む日々が続いています。
□商工会を通じたまちづくり
商工会青年部に所属して、今年で9年目を迎えます。活動を通じて、町の人や魅力に触れるたび、町に貢献したいという思いが強くなっていきました。
近年、商工会の加入者は減少傾向にありますが、この流れを変え、町の良さを最大限に活かした事業を計画していきたいと考えています。現在は、小学生を対象にした職業体験の企画・運営に取り組んでおり、こどもたちが将来の夢や進路を考えるきっかけになればと願っています。
□思い出も、ご縁も、広がる休日
忙しい日々の中でも、家族で出かける時間を作ることを大切にしています。休日には旅行に行くことが多く、一日のうちに広島・宮崎・大分の3県を巡ったこともあります。日常を離れ、家族と過ごす時間は、何よりのリフレッシュです。
最近では、「ひとり飲み」も楽しみのひとつ。普段は人見知りな性格ですが、お酒が入ると自然と隣の人と話し始めてしまいます。そんな何気ないやりとりの中に、新しい出会いや思わぬ繋がりが生まれることもあり、人と関わることの面白さを改めて感じています。
□取材を終えて
従業員の方からは、「仕事が早くて尊敬している」と、福満さんへの思いが語られました。取材を通じて、福満さんの誠実なお人柄が信頼を生み、チーム全体を動かしていることを強く感じました。