くらし 長崎県立大学 シーボルト校研究紹介 Vol.54

長与町に立地する長崎県立大学シーボルト校。すぐ近くの大学でどのような研究が行われているかをシリーズで紹介していきます。

◆エンジニアの日本代表キャプテン?!ISOでの国際標準化活動ご紹介
情報システム学部情報セキュリティ学科
木下修司准教授

1月に着任した木下です。関西人ですが、母が長崎市出身で長与町内にも親戚が住んでいると最近知りました。「どのような研究が行われているか紹介」すると上に書いてありますが、私は研究して論文を書くことよりも、「国際規格」という文書を作る仕事にシフトを置いているちょっと変わった研究者なので、その話をします。
元はIT企業でシステムエンジニアだったのですが、2016年からISO/IECJTC1/SC7Softwareandsystemsengineeringという国際標準化団体の部署で、システム開発関係の国際標準化活動に従事しています。詳細は割愛しますが、ISO/IEC/IEEE15288(システムライフサイクルプロセス)といった業界ではよく知られた国際規格の開発に関与しています。ちょうど6月に年に1度のプレナリ会議がタイのバンコクで開催されたので、その内容や写真をご紹介します。

私は2024年4月からSC7国内委員会の委員長を拝命しまして、日本のHeadofDelegateとして活動しています。Delegate(デリゲート)というのは委員のことです。私はそのHeadなので、さしずめ「システムエンジニア日本代表のキャプテン」といった位置づけです。サッカー日本代表に例えると、長谷部誠さんや吉田麻也さんに相当するので「おー!」と自分でもテンション上がりますが、彼らのような実績は全くないペーペーです。(年齢的にもたぶん私が一番若いです)。
バンコクの会議では、10数人の日本人メンバーとともに約1週間の会議に臨みました。会議は日曜日に始まり金曜日に終わります。日月と「この1週間で何を決めるか」の相談があり、月曜午後から金曜午前ぐらいまでは各ワーキンググループに分かれて集中的に議論を進めます。「議論」とは、さまざまな国際規格の開発を進めるためのディスカッションです。「この部分はこの文言に変えたほうがよい」「この規格はこのように開発していこう」といった会話をします。普段はオンラインでの議論が中心なのですが、集中的に議論ができる対面会議は貴重な存在です。

国際規格が出版されると、それは加盟国全体に、法律の次ぐらいに強い文書として規定されるので、たいへん意義深いと感じています。また、それに対応する国内規格(日本でいうとJIS規格)を整備することにもつながります。国際規格という文書を通した平和貢献かなと感じています。
話を戻して対面会議では、ちょっとしたコーヒーブレイクやワイングラス片手のレセプションにおいて、他国の方と他愛ない会話ができるのも良い点です。この「他愛ない会話」が国際標準化活動を円滑にするのです。
国際標準化の話はネット上でもいくつか出していますので、ご興味があれば私の名前で検索して動画をご覧ください。スポーツで「日本代表」になれる機会はこれからなかなかないと思うのですが、この分野ならチャンスがあります!あなたもご一緒に「日本代表エンジニア」はいかがですか?