くらし 私のFood記 ~薩摩川内風土記~

■手打地域に伝わる緑鮮やか高菜ずし
有馬久美子(ありまくみこ)さん
松田末子(まつだまつこ)さん

今回は、甑島郷土料理研究会の松田末子さんと有馬久美子さんに「高菜ずし」を紹介していただきました。
甑島の「すし」は、地域や家庭ごとに作り方や呼び方に違いがあることが特徴です。今回紹介していただいた「高菜ずし」は、地元で採れる高菜とオボソ(手打地域ではカツオの仲間のスマをオボソと呼ぶ)をふんだんに使っていることが特徴です。昔は高菜を育てる人が多くいたこともあり、今でも高菜を使った料理が残っているそうです。「今回使用した高菜は松田さんの家族が育てたもので、冬が旬の高菜は今の時期たくさん採れます」と有馬さんは話します。
「手打地域の郷土料理には高菜ずし以外にも『クロダイの高菜巻き』や米粉と黒砂糖を使った『つきあげ』など、まだまだ魅力的な郷土料理がたくさんある」と教えてくれました。
松田さんは、結婚を機によく料理をするようになったそうで、母親や祖母が料理をしている姿を思い出しながら、自分でも工夫し、我が家の味を探求してきたといいます。そして現在は有馬さんを含めた6人の仲間と一緒に活動をする中で郷土料理の研究、伝承活動を行っています。
「手打地域の郷土料理は魚を利用した料理が多いですが、近年は不漁の影響で魚の入手が難しくなっています。また、高菜ずしの材料の1つである高菜も育てている人の数が年々減少しており、郷土料理として作れる品数も減っています」と、伝承をしていく上でのさまざまな課題も話してくれました。
このような状況でも、「若い世代につないでいかないと郷土料理がなくなってしまう、故郷の味を次の世代に残していきたい」と強い思いを語る松田さんと有馬さん。これからも甑島郷土料理研究会のメンバーと一緒に研究と伝承活動を続けていきたいという意気込みを聞くことができました。

~ワンポイント~
・高菜は緑色を残すために煮詰めすぎない。
・生節はサバでも代用可能。

▼レシピ
○材料(3~4人分)
白米:3合
高菜:300g
ゴボウ:0.5本
ニンジン:0.5本
シイタケ:3枚
生節※:50g
砂糖:50g
酢:40ミリリットル
薄口しょうゆ:150ミリリットル

○作り方
(1)白米は水を少なめ(固め)で炊く。
(2)高菜を塩茹でした後、10分程度水に浸してアク抜きをする。
(3)アク抜きをした高菜を2cm×5mm角に、ゴボウ、ニンジン、シイタケは5mm角に切る。
(4)鍋に油をひき、(3)(高菜以外)と生節を炒める。
(5)(4)で炒めた具材に薄口しょうゆを入れ、煮詰める。
(6)高菜は煮詰め終わる5分前に入れ、軽く煮詰める。
(7)酢と砂糖を混ぜて作ったすし酢を白米に加え、混ぜる。
(8)(6)の具材の煮汁をしっかり切り、3分の2を酢飯としっかり混ぜる。(残りは好みで調整)
※生節とは、カツオの身を茹でた後に焼いたもの。(松田さんの調理法)

■皆さんの思い出の料理を大募集
皆さんの思い出の料理とそれにまつわるエピソードなどがありましたらどしどし情報をお寄せください。取材に伺います。

問合先:秘書広報課企画総務・広聴広報G
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