くらし 霧島山と錦江湾の魅力再発見「霧島ジオパークの旅」vol.14

〜山で幸せ、海で幸せ〜

日本で最初の国立公園・霧島錦江湾国立公園がある霧島市。市内全域の自然や文化などは霧島ジオパークとして、日本ジオパークに認定されています。霧島山や錦江湾をはじめとする、魅力あふれるスポットを紹介します。

県内最古・最大級の大茶樹が目を引く大茶樹公園。霧島ジオガイドネットワークの臼崎のきさんに思い出や地形との関わりを聞きました。

■霧島山も一望できる大茶樹公園
牧園町持松の稼原(かせきばる)に、かつて日本一と呼ばれた茶樹がありました。公園内にはその二代目の茶樹があります。

11座の山々を見渡すことができる大茶樹公園は、牧園町持松の稼原(かせきばる)という地域にあります。隣の中津川地区で生まれ育った私は、小学校の遠足で今公園になっている場所を毎年訪れ、遊んだことを思い出します。当時は茶樹自体それほど珍しいものではなく、土地の境木として植え、その茶葉を摘み取り釜いりなどして、各家庭で飲むお茶を作っていました。
霧島の名は、霧島の山々が霧の海に浮かぶ島のように見えることに由来するとの説もあるように、霧が発生しやすい気候はお茶の生育に良いとされています。標高が高いことから、年間を通じて涼しい気候でありながら寒暖差もあり、火山による水はけの良い大地もお茶の栽培に適しているのでしょう。大茶樹が植わる稼原の大地も、シラス台地です。初代大茶樹が江戸時代初頭に植樹されてから、約300年もの時を生き続けられたのも、この土地だったからかもしれませんね。

◆スポット情報
▽日本一の大茶樹
かつて日本一と称された大茶樹は、高さ4.5m、枝が南北9.6m、東西7.5mに達する巨木で、昭和12(1937)年には「牧園村ノ大茶樹」として国の天然記念物に指定されました。
約300年という樹齢と大きさから神聖視され、採れた茶葉は不老長寿のお茶として珍しがられ、戦前は一番茶が鹿児島神宮と霧島神宮に奉納されていました。
昭和20年に大茶樹は枯れてしまいましたが、公園内にはこの木から挿し木した「二代目」の大茶樹が育っています。この茶樹も県内では最古・最大級で、市の天然記念物に指定されています。