くらし 地方のかがやき 山梨県 甲府市(1)

■しあわせな暮らしを追求する「山の都」

北部にそびえて県境をなす金峰山(きんぷさん)から山梨県の中央部にかけて南北に細長い市域を有する甲府市は、県庁所在地であり、中核市・中枢中核都市※にも指定されています。
市街地は甲府盆地のなかほどに位置し、北に八ヶ岳、南に富士山、西に南アルプス連峰を望み、秩父多摩甲斐国立公園の奥秩父山塊を源とする御嶽昇仙峡(みたけしょうせんきょう)などの景勝地にも恵まれ、「山の都」と称されます。
地場産業の1つがジュエリー生産で、金峰山一帯から水晶が産出したことから加工技法が発達し、市内で全工程が完結するジュエリーの集積産地であるほか、日本で唯一の公立の宝石美術専門学校もあり、「宝石のまち」と呼ばれています。
明治時代には日本でいち早くワインの生産が始まり、現在市内に5か所のワイナリーがあります。
甲府のまちの礎を築いたのは戦国時代の甲斐武田氏です。永正16(1519)年に武田信虎が躑躅(つつじ)が崎に館を構え、あとを継いだ子の信玄は、周囲に新しく甲斐府中(甲府)のまちを造り、信玄・勝頼と武田氏三代の本拠地として発展を遂げました。
甲府市は令和元年に開府500年を迎え、豊かな歴史と文化をより感じられるまちなかにするべく、甲府城の周辺エリアの再整備を進めています。またリニア中央新幹線の停車駅が甲府駅から7kmほど南に設けられることが決定し、新駅周辺の整備と合わせて市域のさらなる発展が期待されています。

※中枢中核都市:地方公共団体のうち東京圏以外の地域の経済や住民生活を支える拠点となる市。

■宝石やワインなどの名産、360度の山の景観が素晴らしい

◇武田信玄
まちのシンボルでもある甲府駅前の武田信玄公像は台座を含め高さ6.2m(左)。躑躅が崎館跡に創建され、信玄をまつる武田神社(上)の宝物殿には往時を偲ばせる鎧・刀剣などを展示。神社南側には信玄ミュージアムも。

◇武田二十四将騎馬行列
信玄の命日4月12日に開催。一般の参加者による武田二十四将騎馬行列や神輿などが武田神社を出発し、桜の見ごろを迎えた市内をパレード。

◇信玄の湯 湯村温泉
弘法大師が開湯し、信玄の隠し湯だったと語り継がれる名湯。太宰治や井伏鱒二、松本清張などの文人たちが訪れたことでも知られる。

◇金峰山
標高2,599m。富士山を望む山頂付近の五丈岩(高さ約15m の巨大な花崗岩)は、金櫻(かなざくら)神社の本宮とされる。日本百名山の1つ。

◇山梨県立美術館
収蔵品の総点数は約1万点。「種をまく人」など70点のジャン=フランソワ・ミレーの作品を所蔵し、「ミレーの美術館」として知られる。

◇甲州夢小路
甲府城下町を再現したレトロな雰囲気の観光スポット。特産品を扱う店や飲食店、美術館がある。明治初期に取り壊された「時の鐘」も再現。

◇ぶどう・ワイン
ぶどうは江戸時代からの特産品で、市内には多くの農園がある。明治時代に西洋種の導入やワインの醸造も行われるように。

◇御嶽昇仙峡
国の特別名勝に指定され、日本遺産にも認定されている。市の北部、荒川上流にあり、遊歩道から奇岩・滝など清流の渓谷美を鑑賞できる。

◇甲府城跡
甲府駅近くにある城跡。築城当時の石垣、復元された門や稲荷櫓がある。城跡の一部は舞鶴城公園として整備されている。

◇ジュエリー
企画、デザインから原料の調達、研磨、彫刻、金属加工、流通まですべての工程が揃う集積産地。宝石研磨体験や工房見学ができる店舗もある。

◇ほうとう・甲府鳥もつ煮
ほうとうは、平打ちの太麺を野菜と一緒に煮込んだ鍋料理。甲府鳥もつ煮は鳥のレバー、ハツ、砂肝などを甘辛い醤油だれで照り煮した名物。

※写真は本紙をご覧ください。

◎Kofu-City
人口:183,949人(令和6年12月1日現在)
面積:212.47平方キロメートル
【URL】https://www.city.kofu.yamanashi.jp/

■人生を思いきり楽しめるまち
甲府市長 樋口雄一

富士山や南アルプス、八ヶ岳などの山々に囲まれた甲府市は、武田氏ゆかりの史跡や温泉が点在する「山のぼり・まち歩き」が楽しめるまちです。自然豊かな景勝地が近いほか、長い日照時間、季節や昼夜の寒暖差、きれいな水に恵まれているため、ぶどうや桃などの果物、朝採れ野菜が自慢で、ワインなどの酒類も逸品ぞろいです。より暮らしを楽しんでいただけるよう、公共空間を活用し、まちなかに居心地が良く、出かけたい場を創出する政策を進めており、また「こども育むまち」を掲げ、子育て支援・子育ち応援に取り組み、教育 DX にも力を入れています。