- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道札幌市
- 広報紙名 : 広報さっぽろ 2025年10月号
市内には、さまざまな理由で家庭で暮らせない子どもがいます。
一方で、家庭内で虐待に苦しんでいたり、過度に家族の面倒を見ている子どももいます。
今回の特集では、そうした子どもたちの現状や解決に向けた取り組み、制度などを紹介します。
■子どもたちに家庭のぬくもりを
〜里親に聞きました
子どもの健やかな成長には、特定の大人との愛着形成が大切です。そのため、さまざまな事情で家庭で暮らせない子どもたちにとって、里親制度は重要な役割を担っています。今回は、養育里親としてこれまで2人の里子を迎え入れてきた古家(ふるや)さんご夫妻に、既に家を離れた最初の里子を迎え入れた当時のお話をお聞きしました。
▽里親登録しようと思ったきっかけを教えてください
彩さん:里親として里子を育てている方が身近にいたので、里親制度については以前から知っていました。里子との生活によって、養育する里親自身も学びがあるほか、里親への支援も充実していると聞いていたので、実子3人の子育てがだんだん落ち着いてきたこともあり、少しでも子どもたちの力になれることがあればと考え、里親登録することを決めました。
健司さん:最初に妻からその話を聞いた時は、少し突然だったので驚きました。ただ、妻の思いに共感し、夫婦そろって里親登録することに決めました。
▽実際に里子を迎え入れることが決まった時、不安は感じましたか?
彩さん:里親登録後、児童相談所から最初の里子の受け入れについて打診があり、迎え入れることを決めました。その後面会したのですが、特に面会する前は、「これから一緒に暮らす子はどんな子なんだろう」「実子3人とはうまくやっていけるだろうか」などの不安はありましたね。
健司さん:恐らく不安に感じていたのは、私たちだけではなかったはずです。長く施設で暮らしていた里子自身も、生活する環境が変化することに少なからず戸惑いを感じていたと思います。
▽里子を迎え入れてうれしかったこと、大変だったことを教えてください
健司さん:私の趣味の武道を始めてくれたことは、特にうれしかったですね。私たちの家を離れた現在も、里子とは練習場所で顔を合わせているんですよ。
彩さん:うれしかったことがある反面、里子には発達上の特性があったので、養育する上で配慮が必要な部分もありました。もちろん、里子だけではなく、実子へのケアにも気を配りましたね。上の子2人は「自分たちの両親が里親として里子を育てていることは、とても大切なことなんだ」と理解してくれていると感じていました。
健司さん:一番下の子はまだ幼いので、「遊んでくれるお兄ちゃんができた!」と喜んでいましたね。
▽周囲からどのようなサポートを受けていましたか?
彩さん:児童相談所や札幌市里親会などの支援機関に常に寄り添ってもらっていたので、不安や悩みを都度、解消できていました。里子を迎え入れるに当たって、「事前に家庭で何を準備すべきか」「里子の部屋はどのように用意したか」などの細かな疑問に対しては、先輩里親さんも親身に相談に乗ってくれましたね。
▽里親制度に興味をお持ちの方へ、伝えたいことはありますか?
彩さん:里子を迎え入れて、責任を持って育てるということは、覚悟がないとできないことだと思っています。ただ、できるだけ里親自身が悩んだり不安を抱え込んだりしないような仕組みや、里親同士のつながりがとても充実しているので、私たち自身も問題なく育てることができました。今、里親に興味を持たれている方には、「決して一人で子育てをするわけではないんだよ、みんなで育てるんだよ」と伝えたいですね。
健司さん:「里子を育てている」と周囲に話すと、「実は私も里親になろうかと少し考えていて」と話してくださる方もいらっしゃるんです。そういった方たちに今回の私たちのお話を聞いていただき、さまざまな支援が受けられるということを知っていただいた上で、里親の仲間になってもらえたらうれしいですね。
問合せ:
里親制度は児童相談所家庭支援課【電話】622-8619
児童虐待は児童相談所【電話】622-8630
東部児童相談所【電話】863-6290
ヤングケアラーは子どものくらし・若者支援担当課【電話】211-2947
子どもの権利は子どもの権利推進課【電話】211-2942