子育て 《特集》全ての子どもが幸せに暮らすために(2)

【里親制度を知る】

■さまざまな事情で家族と暮らせない子どもがいます
令和6年度末現在、市内には、家族と暮らせない子どもが約700人います。そのうち、里親などと一緒に暮らしている子どもは約300人で、約4割にとどまっています。

●里親にはどんな種類がある?
▽養育里親(特に足りていません)
さまざまな事情により家族と暮らせない、原則0~18歳の子どもを数カ月~数年間預かり育てます。

▽専門里親
養育里親のうち、特に虐待や非行、障がいなどの理由で、専門的な援助を必要とする子どもを預かり育てます。

▽養子縁組里親
養子縁組によって子どもの親となることを前提に、養子縁組が成立するまで子どもを預かり育てます。

▽親族里親
実親が死亡、行方不明などで養育できない場合に、三親等以内の親族が里親として子どもを育てます。

●里親になるには?
市内3カ所の支援機関が、里親の登録や子どもを迎え入れた後の支援などを行っています。相談から里親登録までの流れは下記の通りです。

▽相談・面接
お住まいの住所に応じて、下記にご相談ください。
・中央・豊平・西・手稲区にお住まいの方
興正(こうしょう)里親支援センター【電話】598-8352

・白石・厚別・清田・南区にお住まいの方
札幌市フォスタリング機関てくてく【電話】351-0389

・北・東区にお住まいの方
むぎのこフォスタリング機関【電話】776-6856

▽研修
里親制度や、子どもの権利などについて数日間学びます。

▽家庭訪問
ご自宅に訪問の上、生活環境などを確認させていただきます。

▽審議会
有識者が会議を行い、里親登録に向けた審査を行います

▽里親登録

●里親になると、どんなサポートが受けられる?
▽経済的なサポート
子どもの生活費や医療費、教育費などが支給されます。
養育里親と専門里親には里親手当も支給されます。
※手当ごとの具体的な金額は、児童相談所家庭支援課【電話】622-8619までお問い合わせを

▽養育上のサポート
里親が子どもを迎え入れた後も、児童相談所やフォスタリング機関(※1)・里親支援センター(※2)、児童養護施設に配置された専門の相談員が家庭訪問などを行い、里親の悩みを聞きながら子どもの養育について共に考えます。
札幌市里親会が行っている里親サロンでは、里親同士で気軽に情報交換をしたり、悩みを相談したりできます。
※1 里親の募集、子どもと里親のマッチング、里親への研修のほか、里親家庭へ訪問支援などを行う機関
※2 令和7年4月から新設された機関。※1の機能に、成人を控えた子どもの自立に向けた相談に乗るなどの新たな役割が追加されている

●「里親促進フォーラム」で、里親制度をもっと知りませんか?
匿名でも赤ちゃんを託せる赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」に預けられた当事者として、実名で自身の生い立ちや思いを発信している宮津航一(みやつこういち)さん。そして、国内で初めて熊本市の慈じ恵けい病院に赤ちゃんポストを設立した田尻由貴子(たじりゆきこ)さん(同院元看護部長)が講演します。また、児童相談所が里親制度の概要を、里親が体験談を伝えます。
日時:10/19(日)10時30分~12時30分
会場:かでる2・7(中央区北2西7道民活動センタービル)
費用:無料
定員・申込:ホームページでご確認を

●里親制度の専門家にお聞きしました
北川聡子(きたがわさとこ)さん
1960年、乙部町生まれ。社会福祉法人麦の子会理事長・総合施設長、NPO法人札幌市里親会理事長、公認心理師。子どもの発達支援、そして家族支援を行っている。家庭での子育てが大変な時に、子どもを預かるショートステイ、児童相談所からの委託で子どもを養育するファミリーホームなど、社会課題の受け皿づくりに取り組んでいる。

▽子どもの健やかな暮らしを守る制度
子どもは、自分の気持ちを身近な大人に受け止められながら育っていくため、家庭の中で生活をすることが大切です。養育里親は、さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもを、子どもが安心できるように家庭で一時的に預かり、社会で育てる仕組みです。子どものためだけの制度ではなく、大変な状況に置かれている実親を応援する側面もあります。

▽みんなが応援してくれます
私自身も4人の里子を里親として育てましたが、発達が少しゆっくりな子もいて、接し方に悩んだこともありました。しかし、児童相談所などの支援機関や担当医師、同じ里親の仲間など、みんながいつも私を支えてくれました。子育てはたくさんの応援が必要ですが、特に里親制度は「社会的養護」の一つですので、「自分だけで抱え込まず、みんなに応援してもらいながら育てる」制度だということを知ってほしいですね。

▽里親になりませんか
里子の養育を通じて、里親自身も心が豊かになると感じていますよ。子育てがひと段落して「子育てが楽しかったから、もう少し子育てしたい」と感じている方、子どもが大好きで、「世の中のどの子も幸せになってほしい」という気持ちのある方は、ぜひ里親登録していただきたいです。

問合せ:
里親制度は児童相談所家庭支援課【電話】622-8619
児童虐待は児童相談所【電話】622-8630
東部児童相談所【電話】863-6290
ヤングケアラーは子どものくらし・若者支援担当課【電話】211-2947
子どもの権利は子どもの権利推進課【電話】211-2942