- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道新篠津村
- 広報紙名 : ふれあいの里 新しのつ 令和7年10月号
今月の担当:布廣(観光振興推進員)
■太陽への放浪者・彗星
今年の10月下旬から11月上旬にかけて見頃を迎えるレモン彗星。去年の同じ時期には紫金山・アトラス彗星が明るくなり、しんしのつ天文台でも観望会が行われました。今回は、この「彗星」という天体について少しだけご紹介します。
◇彗星の正体とは
古来の日本では、ほうきのような尾をひいた姿で夜空に突然現れる星のことを「彗星(すいせい・ほうきぼし)」と呼んでいました。その様子から、不吉の前触れとして恐れられたこともあったそうです。技術の発達により、地上からの観測だけでなく、彗星に探査機を送り込んで間近からの観測も行われると、その興味深い正体が明らかになりました。
彗星の本体は「核」と呼ばれる氷やちりなどが混じった大きさ数kmから数十kmの塊で、汚れた雪玉とも例えられます。それが太陽にある程度近づくと熱によって氷が蒸発し、ガスやちりも一緒に放出されることで核を取り囲むように淡く輝く「コマ」をつくります。そこから、大きく分けて2種類の「尾」が太陽とは反対の方向に伸びていきます。(1)太陽風によって細長く流されるガス「イオンの尾」と、(2)太陽の光の力によって扇状の範囲に飛ばされるちり「ダストの尾」です。
太陽に近づけば近づく程、コマはより明るくなり、尾も明るく長く伸びるようになりますが、地球からの見え方は彗星までの距離や角度、彗星の核の大きさや含まれる材料などによって変わるため、夜空での見え方や明るさを正確に予測することはかないません。その時までの「お楽しみ」というわけです。
◇彗星は太陽系の‟化石”
彗星のほとんどは海王星の軌道より外側の遠いところからやってきます。そこには、太陽系が誕生したはるか昔に、惑星になれなかった小さな氷の天体が今でも無数にあり、それが何らかの理由で細長い軌道を描きながら太陽へ近づいていき、尾をひく彗星の姿になると考えられています。彗星には惑星が誕生した頃の太陽系の情報がそのまま残されているのです。
今回のお話はここまで。彗星についてもっと詳しく知りたい方やレモン彗星を観てみたい方は、10月18・19日と25・26日の4日間にしんしのつ天文台にて開催するイベント「第4回星空ウォッチング」にぜひお越しください。
