くらし 派遣先からお届け!地域活性化センター出向レポート

一般財団法人地域活性化センターに出向中の小西です。東京のまちを歩いていると、意外に坂が多いと感じます。また、渋谷など「〇〇谷」という地名もよく目につきます。その理由は、東京23区の西部や多摩地域に広がる武蔵野台地のふちが湧水で少しずつ削られ、すり鉢状の谷が連なっているからです。
私は、その成り立ちをセンターの内部研修で学びました。研修のテーマは「地形と水に着目したまちの魅力発見と地域づくり」です。台地と谷、湧水と川筋、台地の”へり”と低地の関係に注目し、江戸の古地図と現在の地図を重ね、実際に歩いてみると、まちの変遷が見えてきます。江戸では、台地上に「山の手」として武家地が広がり、その周辺の低地には町人地、いわゆる「下町」が発達しました。近代以降、台地は官庁街やビジネス街として整備が進み、低地は住宅や商業が集まりやすい傾向が見られます。運河などの水辺は多くの場所で、公園や商業施設が集まるにぎわいの場であると同時に、防災の要にもなってきました。
この地形と水からまちを読む見方は、ニセコ町のまちづくりにも生かせるのではないでしょうか。尻別川沿いの段丘や、丘陵から山麓へとつながる地形では、斜面の向きで日当たりや雪の残り方が変わり、建物の角では風が強まりやすく、春の雪どけや雨のあとは低い土地に水が集まりやすくなります(場所によっては浸水の心配があります)。車で移動することが多い日常の中でも、少し視点を変えて歩いてみると、冬でも歩きやすい道、子どもや高齢者が安心して通れる道、季節ごとに美しく山並みが見える場所が見つかります。歩きながら得た「気付き」は、除雪の工夫やビューポイントの保全、雨水対策、避難経路の見直しなど、より良いまちづくりのヒントになります。四季の変化を感じながら、足元の地形に着目して歩いてみるのも良いですね。