くらし イトウを守るために

猿払村では平成15年に開村80周年を記念し、村のシンボルを決定しました。その一つが「イトウ」です。近年ゲームや漫画などでイトウの認知度は以前に比べ上がったとは言え、村民の皆さんでも村に生息するイトウを間近に見ることはめったにないでしょう。

■日本最大級の淡水魚
イトウはサケ科の魚で体長1メートルを超える「日本最大級の淡水魚」です。道内各地の河川と東北北部にも生息していましたが、環境破壊や乱獲により絶滅・激減した河川も多く、現在では北海道内の限られた地域のみに生息しています。国際自然保護連合、環境省ともに絶滅危惧種に指定していますが実効性のある保護策は無く、釣り人のキャッチアンドリリース、山林所有者の施業の配慮、一部の生息地域の有志による民間レベルの保護活動、行政や市民の環境保全の意識向上によって、急激な減少は食い止められています。

■イトウ釣りの聖地
猿払川は国内最大級の生息数を誇り、村は釣り人から「イトウ釣りの聖地」と呼ばれ、全国的に有名です。村の河川はイトウの遡上を妨げる河川工作物が少なく、比較的河川環境が良好で、保護区の設定などにより産卵環境が維持されています。その効果もあり生息数は維持されてきました。

■高気温と少雨による渇水
令和4年の夏、記録的な高気温と少雨により上川北部や宗谷の河川でイトウを含めた魚類の大量死が発生し、猿払川では約50匹のイトウが死んでしまいました。渇水の影響はイトウの卵にまで及び、稚魚の減少も確認され、将来的にイトウの生息が危ぶまれる状況となっています。そして今年、村では6月から気温29℃を記録し、その後も暑い日が続くなか、再びイトウの斃死や衰弱したイトウを確認しました。渇水した河川と水温の上昇でイトウ達はギリギリ命を繋いでいる状態。自然現象が主な要因の中、私たちにできることは限られています。
このような状況の中、「猿払イトウの会」ではイトウの保全・啓蒙活動を行っています。次回は、その詳しい活動内容等をご紹介します。