くらし 令和7年新春座談会 芸術で町おこし(1)

■対談者
・山下 竜司(やました りゅうじ)さん
「アートに触れられる場所をまちなかに」
地域おこし協力隊。熊本県出身。アートで町おこしに取り組む。

・朝比奈(あさひな) つとむさん
「アートで仲間と山根を盛り上げたい」
地域おこし協力隊。一関市出身。山根にアトリエを構え、アート活動に取り組む。

・熊谷 行子(くまがい ゆきこ)さん
「市民が集う芸術の拠点を」
芸術村あーとびる麦生理事長。久慈市出身。あーとびる麦生を立ち上げ、運営している

・小笠原 克哉(おがさわら かつや)さん
「周りを巻き込んで大きな力に」
市民劇おらほーる劇場の演出を担当。雫石町出身。

・関上 基広(せきがみ もとひろ)さん
「久慈でもやりたいことができる」
任意団体SPOT LIGHT委員長。奥州市出身。音楽イベントの企画、運営に取り組む。

・遠藤 譲一(えんどう じょうじ)市長
「芸術でまちの雰囲気が変わる」

遠藤市長:新年あけましておめでとうございます。久慈を子どもからお年寄りまで笑顔あふれる町にしていきたいと思っています。そのためには、人とのつながりや生活の中で気持ちに余裕を持つことが大切です。心の栄養が大事であり、芸術活動は人や地域との結びつきを強め、地域づくりにつながってくるものと確信しております。
本日は芸術分野で活躍する皆さんに集まっていただきました。皆さんに話を伺いながら、芸術でまちづくりを考えていきたいと思います。

■久慈で活動を始めた理由
まずは皆さんが久慈で活動を始めた理由について、お聞かせください。
山下:久慈の地域おこし協力隊に応募するきっかけになったのは、旅行でたまたま立ち寄ったことです。駅から近い巽山公園に訪れると、子どもたちが笑顔で遊んでいていいところだなという印象を持ちました。商店街には写真を飾っている休憩所があり、このような取り組みをしているまちは芸術や文化に理解があると思い、応募しました。
朝比奈:九戸村の地域おこし協力隊の紹介で、山根でバーベキューをしたことがきっかけです。いいところだと思い通ううちに、山下さんや山根で活動されている八屋尚樹さんに、地域おこし協力隊として来ないかと誘われました。久慈は得意分野で活動できる企画提案型で協力隊を募集していて、自分の絵で知り合った皆さんと地域を盛り上げていければと思い、応募しました。
関上:前職の転勤で久慈市に移住してきて、気候や町の雰囲気に惹かれました。音楽が好きで、20歳の頃からDJ活動と作曲をスタート。制作したヒップホップの楽曲をアーティストに提供したり、ストリーミングサービスで配信したりしています。音楽活動をできる場所が少なく自分で作りたいと思い、任意団体「SPOT LIGHT」を立ち上げました。音楽やダンスなどの分野で活動する若者を応援する、イベントを開催しています。
小笠原:妻の転勤のタイミングで久慈に移住。演劇に関わるきっかけは、妻の仕事の関係であーとびる麦生の活動を手伝うところからだった思います。そこからおらほーる劇場につながり、最初は前職の経験を生かし小道具、大道具やセット作りをしていました。役者としても2度出演し、現在は演出を担当しています。
熊谷:15年前、久慈の町が寂しくなっていると感じ、ギャラリーをやりたいと思い立ちました。絵のことしか分からず、施設の運営については全くの素人だったので、いろいろな人に相談。麦生の学校が閉校となることを聞き、訪れると木のきれいな廊下に魅力を感じました。当時の市長にダメもとで直談判し、貸してもらえることになりました。
全国の知り合いの作家さんに、作品を寄付してほしいと200通以上手紙を送ると、たくさんの人が協力してくれました。近場の知り合いにも手伝ってもらい、芸術村あーとびる麦生としてスタートしました。
市長:あーとびる麦生のような施設は滅多にないと思います。廃校を活用し、熊谷さんを中心にボランティアが協力して運営している。他にはないすばらしい施設です。
久慈はもともと絵画や芝居などの文化があまりないまちだったので、皆さんが活動していることでまちの雰囲気が変わってきていると思います。これくらいの人口規模の中で、これまであまりなかった新しい分野で活動する事は注目されるし、影響が大きい。皆さんの活動を通して、市民の芸術や文化への関心が高まっていけばいいなと思います。
久慈には何もないという否定的な話もあります。こうして久慈で芸術分野で活動している皆さんの存在はすごく大きいです。