- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県一関市
- 広報紙名 : 広報いちのせき「i-Style」 令和7年7月号
「大船渡線に乗り換えしゃんせ 一関より遠からず」(げいび追分より)
大船渡線の開業と時を同じくして、国の史跡名勝天然記念物に指定された猊鼻渓。指定100周年の節目を機に、地元の観光地の価値と魅力を再発見してみませんか。
東山の猊鼻渓は、北上川支流の砂鉄川沿いに高さ50メートルを超える石灰岩の岸壁が約2キロにわたって続く渓谷です。国の名勝指定は大正14年10月8日で、県内第1号。後に日本百景の一つにも選定され、全国的に知られるようになりました。最近はインバウンド(訪日客)からも人気を集めています。
ゆったりとした流れの中を往復する舟下りでは、船頭が上りも下りもさお1本で木造の舟を操り、奇岩や樹木などの自然が織りなす景色を案内してくれます。フジの花、深緑、紅葉、雪景色と四季折々に美しさがあり年中が見ごろ。静けさに包まれるひとときは日常の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれます。
舟下りの終盤に船頭が披露する民謡「げいび追分」は、長年歌い継がれ、心のお土産として旅人に愛され続けています。自慢の渓谷美を守りたい、たくさんの人に楽しんでもらいたい。そんな思いが名勝を未来へつないでいきます。
●一関の魅力を発信したい
舟下り新人船頭
千葉堅司(けんじ)さん(38) 一関
節目の年に船頭としてデビューした千葉さん。所属する一関青年会議所(JC)の事業の一環で猊鼻渓を訪れたのを機に観光の最前線に携わる仕事に魅了され、団体職員から船頭に転身しました。昨年9月に見習い業務を始め、さおさばきや「げいび追分」を習得。今年4月に独り立ちしました。「船頭はお客さんとの距離が近く、市内の観光地や文化などの魅力を直接伝えることができる。縁あって100周年というタイミングで船頭をやらせてもらえるようになったが、これからも自分なりに精いっぱい地域の盛り上げに貢献していきたい」と一関の魅力発信に努めています。