- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県住田町
- 広報紙名 : 広報すみた 令和7年7月号
もみ殻や家畜のふんなどを炭にしたバイオ炭に微生物を付着させ培養する高機能バイオ炭。これまで使っていた化学肥料の削減や、短期間での土壌改良への効果が期待されることから、町では耕畜連携の取り組みとして、昨年から関係機関と連携して実証実験などを進めています。本記事では、その効果や高機能バイオ炭の普及に向け、町がこのたび締結した協定の内容についてお伝えします。
■高機能バイオ炭普及へ連携を開始
7月8日、役場町民ホールで岩手県における高機能バイオ炭(宙炭(そらたん))の普及に関する包括連携協定開始式が行われました。
この開始式は、今年3月に町や高機能バイオ炭を開発・製造している株式会社TOWING(トーイング)(本社・愛知県)ら6者で締結した「岩手県における高機能バイオ炭(宙炭)の普及に関する包括連携協定」による取り組みの本格的な展開に先立ち、行われたものです。
式には、神田謙一町長、西田宏平TOWING代表取締役CEO、大和田国弘・有限会社気仙環境保全代表、猪股岩夫・大船渡市農業協同組合代表理事組合長、佐竹雅之・全国農業協同組合岩手県本部副本部長、工藤孝志・岩手県信用農業協同組合連合会代表理事専務ら関係者40人が出席。高機能バイオ炭の説明やテープカットなどが行われ、今後の連携に想いを一つにしました。
なお、式典の中で、西田CEOは「サステナブルな農業の起点になるのが、このバイオ炭。世界の見本となるような、持続可能な食料生産拠点をつくっていきたい」とあいさつ。続けて神田町長が「当町の農業総生産額の9割は畜産業。原料となる鶏ふん炭は町の貴重な資材。これを一段ステージを上げたものが宙炭。住田から発信していけることが非常に楽しみ」と高機能バイオ炭の普及に向け、意欲を見せました。
なお、今回締結した協定の詳細は、下記で紹介します。
※宙炭(そらたん)
もみ殻や家畜のふんなどを炭にしたものをバイオ炭といいます。このバイオ炭にTOWINGが独自にデザインした土壌微生物を定着させたものが「宙炭」となります。宙炭を土に混ぜ、野菜くずや落ち葉などの有機肥料を加えると、微生物がそれらを効率よく分解。これにより、栄養が豊かで、炭素が貯留できる土ができます。また、通常3~5年かかっていた農地の改良を1か月ほどに短縮することができるほか、廃棄・焼却されてきたもみ殻や家畜のふんなどを材料とするため、再生可能エネルギーとして二酸化炭素の排出削減に効果があるとされています。なお、品名は高機能バイオ炭、販売名が宙炭となります。
■国内初となる包括連携協定の締結
今年3月、町はTOWINGを含む5団体と包括連携にかかる協定を締結。なお、TOWINGと自治体などによる共同での包括連携協定は国内初の事例となります。
○包括連携協定概要
〔協定締結団体〕
株式会社TOWING、住田町、有限会社気仙環境保全、大船渡市農業協同組合、全国農業協同組合連合会岩手県本部、岩手県信用農業協同組合連合会
〔協定内容〕
(1)町での宙炭製造プラントの設置運用、鶏ふん炭を活用した宙炭の製品化
(2)宙炭を活用した作型づくりに向け、農地への実証導入試験の提案・推進
(3)宙炭由来のカーボンクレジットの創出や販売
(4)宙炭の県内流通に向けた検討
(5)単位農協の組合員などに対する宙炭の有効的かつ持続的な普及推進に向けた施策検討
■これまでの取り組みと今後の期待
町では、令和5年度から全国農業協同組合連合会やTOWING、県農業改良普及センターなどと意見交換を重ねてきました。6年度は、町内事業者の協力を得て、高機能バイオ炭を用いた栽培と従来の栽培を比較し、生育状況や収量の調査のほか、土壌診断をあわせて実施。排水性や保水性、通気性などの土壌改良効果の確認などを進めてきました。
また、TOWINGでは、宙炭を製造するため、世田米小府金地内にプラントを建設・完工。今年4月から試験稼働を開始しています。
なお、このプラントでは、現在1名が常駐。今秋の本格的な稼働に向け、今後さらに人員を増やす考えとのことであり、町内の新たな雇用機会の創出にも期待ができます。
町では、本協定に基づき町内生産者への高機能バイオ炭の普及を目指す取り組みを通じ、農地への利用によって創出するカーボンクレジットの販売や栽培作物の高付加価値販売など新たなマーケット創出を目指していきます。
※協定の概略図
問合せ:農政商工課農政係
【電話】 46-3861