くらし 【特集1】子どもを中心とした 誰もが幸せになる社会づくりへ

仙台市長郡和子
仙台こども財団理事長湯浅誠

市では「子育てが楽しいまち・仙台」の実現に向け、さまざまな取り組みを進めています。今回は仙台こども財団の理事長・湯浅誠さんをお迎えし、これまでの財団の取り組みや今後の子ども・子育て施策について郡市長と語り合っていただきました。

◆子どもの提案実現や男性の育休取得を後押し
[市長]本市では、子どもを中心とした社会づくりを進めていくため、令和5年11月に仙台こども財団を設立しました。湯浅さんには財団設立時から理事長を務めていただき、あらためて感謝申し上げます。スタートから1年余り、「こども・若者会議」をはじめとしてさまざまな取り組みを進めていただきましたが、手応えはいかがでしたか。
[湯浅]こども・若者会議では、参加した小学生から高校生のメンバーに「みんなが幸せなまち」について意見を出し合ってもらいました。最初に決めていたのは、言いっ放しで終わらせず、出された意見を形にするということ。最終的には子どもたちの企画・提案でごみ拾いイベントとお祭りの開催を実現できたので、とても良かったと思います。
[市長]私も会議を拝見しましたが、子どもたちが互いに意見をぶつけ合って一つのことを進めている姿にすごく感動したんです。子どもたちの力を引き出すのも財団の仕事の一つであると実感しました。
[湯浅]今でも財団のホワイトボードにメンバーの子どもたちが書いたメッセージを消さずに残していて、職員にとっても思い入れのある取り組みになったようです。
[市長]男性が育児休業を取得しやすい環境づくりとして、中小企業を対象とした支援事業も行っていただきましたね。
[湯浅]モデル企業として4社を選定し、社会保険労務士を派遣して制度設計に向けたアドバイスなどを行いました。周知の仕方など課題もありましたので、今年はより多くの企業に取り組んでいただけるよう工夫したいと考えています。
[市長]本市としても、男性も仕事と子育てを両立できるように、財団と連携しながら男性の育休取得の支援を進めていきます。
[湯浅]加えて、子ども・子育て支援団体の現状などを把握・分析するために調査を実施し、200を超える団体から回答をいただきました。団体同士の連携など、課題の解決に生かしていきたいです。

◆居場所づくりを進めみんなで子ども・子育てを支える社会に
[市長]本年度は、子どもたちがまちづくりに参画できる機会をつくる「こどもいけん広場」の取り組みを新たに始めると聞いております。
[湯浅]はい。5月中旬から参加者を募集する予定で、多くの方が参加してくれたらうれしいですね。
[市長]本市では、子育て家庭の皆さんからの期待も大きい屋内遊び場の整備に向け、基本計画の策定に着手します。策定に当たっては、施設を利用する主体である子どもたちの意見を取り入れることが重要と考えており、こどもいけん広場を活用させていただければと思っています。
[湯浅]ぜひ。子どもたちの声をまちづくりに反映させるというのは全国的にあまりやってこなかったことだと思いますので、どんな施設になったらうれしいか、意見をまとめてお届けしたいですね。
[市長]ありがとうございます。子ども中心の社会を実現する上では、意見表明をはじめとした子どもの権利が守られることと併せ、子どもが大人と関わりながら安心できる居場所があることも重要となります。財団として力を入れていく「居場所づくり」についても教えていただけますか。
[湯浅]子どもが安心でき、多世代の交流もできる居場所づくりに取り組む予定です。まずはモデル地区を据えて、官民連携しながら進めていけたら。国の調査によれば、18歳未満の子どもがいる世帯は2割を切っているんですよね。ですから、子育て世帯以外の方たちにも関わってもらい、みんなで支えていくことが、子育てしやすいまちにつながると思っています。
[市長]本市でも地域の方々のご協力をいただきながら、学校の始業開始前に子どもが安全に過ごせる朝の居場所の開設を目指しています。また、家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもがいる家庭を対象に、家事支援なども行っていく予定です。
[湯浅]とても大事だと思います。居場所づくりは基本的に、来てもらう、出向いていく、オンライン空間の3パターン。地域の居場所が増えていくことはもちろん大切なのですが、何かしらの事情でそこまで来るのが難しい子どもたちに対しては出向いていくしかないんです。居場所というと、家庭や学校以外の「第3の居場所」が注目されがちですが、家庭は「第1の居場所」として極めて重要です。そのため家事支援や育児支援が必要になってくると考えています。
[市長]他にも、産後ケアや子ども医療費助成の拡充など、妊娠期から出産・子育て期にわたる切れ目のない子育て支援に取り組んでいきます。最後に財団の今後の抱負をお聞かせください。
[湯浅]4月から公益財団法人に移行したことで、信頼性も高まり、いろいろな事業も進めやすくなると感じています。助成をはじめ多様な取り組みを通して、子どもたちの笑顔が増えたとか、子育てが楽しいまちになってきたと言っていただけるように頑張りたいと思います。
[市長]子どもを中心としたまちづくりを進めることで、全ての世代のウェルビーイング(幸せな状態)につながると考えています。子どもたちの最善の利益が守られるよう、今後も互いに力を合わせて頑張っていきましょう。

湯浅誠さん
仙台こども財団理事長。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長などを兼任

◆取り組みの一部をご紹介!
◇こども・若者会議
令和6年度は小学生から高校生の合計20人が参加。意見交換や対話を重ねながら「みんなが幸せなまち」の実現にチャレンジしました。

◇パパ育休取得サポート
「男性育休取得チャレンジ企業」のモデル企業4社に専門家を派遣。就業規則の見直しや助成金の受給などのサポートを実施しました。

このほかの取り組みなどについて詳しくは、仙台こども財団ホームページをご覧ください

この特集に関するお問い合わせ:
子育て応援都市推進課【電話】214・2129【FAX】214・5010
仙台こども財団【電話】302・5275【FAX】302・5276