くらし 法の広場

■昔の出来事どうなるの?
知人同士で、「もう時効だから~」と言いながら、昔の失敗など当時は言えなかった話をすることはありませんか。今回のコラムは、刑事事件と民事事件それぞれの「時効」についてお話しします。
刑事事件には公訴時効があります。これは、事件発生から犯罪ごとに決められた期間が経過した後は、裁判を行うことや刑罰を受けることが無いというものです。
時間の経過とともに証拠が見つかりづらくなるため、捜査機関の負担を軽くすることなどが理由とされています。例えば、過失運転致傷罪の公訴時効は5年です。発生から1年以上が経った事故で、怪我が軽く、被害弁償が済んでいれば、刑罰を受ける可能性は低いです。しかし、事故日から5年が経過するまでは、刑罰を科される可能性が残っています。
お金のやり取りなどに関する民事事件には、取得時効や消滅時効があります。そのうち、消滅時効は、お金の支払いを例にすると、支払日から5年が経過するとそのお金を支払う必要が無くなるという制度です。これは、関係者が内容を忘れたり、死亡したりするなど、証拠が無くなってしまうことや、請求者が長期間放置するのは望ましくないことなどが理由とされています。
請求者には厳しい制度のように思えますが、5年経過すると必ず請求ができなくなるというわけでもありません。支払いを求める行為をするなど一定の条件を満たすと、時効をリセットしてその期間を一から数え直すことができるようになっていて、制度のバランスが保たれています。
制度上はこのようになっていますが、自分に関する出来事に時効が関わるかは案件によって異なります。昔の問題であっても、気になることがある場合には、お気軽にお問い合わせください。

林拓巨(たくみ)弁護士
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