くらし 「交通空白」とは?

――10年後も安心して出かけられる地域へ――
■交通空白ってなんだろう?
私たちは日々の生活の中で、買い物や通院、学校への送り迎えなど、様々な理由で移動をしています。しかし、東成瀬村のように面積が広く、高齢化が進む地域では、路線バスの本数が少なかったり、運行経路が限られていたり、そもそも公共交通機関が全く通っていない場所があります。このような、公共交通機関による移動手段が十分に確保されていない地域を「交通空白」と呼びます。
利用者の減少や運転士不足も深刻化しており、この問題は公共交通機関の維持に大きな影響を与えています。そして、高齢者の方々にとっては、免許返納後の移動手段の確保が大きな課題となっています。

■村民の「移動」を支える新たな取り組み
こうしたことから、村では全村域を「交通空白」ととらえ、交通手段の改善を図ることとしました。昨年から、村民の皆さんとともに移動手段の確保について考え、具体的な解決策を探るための活動を進めています。

■「東成瀬村地域公共交通活性化協議会」を設立
ワークショップでの議論を経て、村民代表、交通事業者、行政関係者などが一堂に会する「東成瀬村地域公共交通活性化協議会」を設立しました。この協議会は、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、地域公共交通のマスタープランとなる「地域公共交通計画」の検討と検証を担う組織として設立しました。

■これまでの歩み
○村民とともに創る持続可能な交通(ワークショップで課題を共有し、解決策を議論)
昨年度は、計3回のワークショップを開催し、幅広い年代の村民の皆さんにご参加いただきました。移動で困っていること、あったらいいなと思うサービスなど、活発な意見交換が行われました。これらのワークショップを通じて、村が抱える交通課題を明確にし、住民ニーズに基づいた解決策を模索する土台を築きました。

■令和6年度に実証実験で可能性を探る
地域の足となるか?「ライドシェア」の実証実験
村民の送迎ニーズに応える新たな手段として、ライドシェアの実証実験を行いました。これは、地域住民が自家用車を使って有償で送迎を行う仕組みで、きめ細やかな移動サービスの提供を目指しています。

■ゆっくり、安全に移動!「グリーンスローモビリティ」の活用
観光客だけでなく、村民の皆さんの短距離移動にも役立つ可能性を秘めているのが、グリーンスローモビリティです。電動でゆっくりと走行する特性を活かし、安全で環境に優しい移動手段として実証実験を行いました。

■今後の展望
これらの取り組みを通じて、村民一人ひとりが安心して移動できる、持続可能な交通ネットワークの構築を目指しています。実証実験で得られたデータを基に、村民の皆さんのニーズに合った最適な交通手段を導入できるよう、今年度は、「地域公共交通計画」の策定を行う見込みとなっています。他の地域の事例を参考にしながら、東成瀬村の地域性に合った地域公共交通の実現に向け、引き続き、取り組んでいきます。